軽貨物運送業の倒産、1~10月で年間過去最多を更新

軽貨物運送業の倒産、1~10月で年間過去最多を更新

帝国データ調査、業績悪化は過半数

帝国データバンクは11月13日、軽貨物運送業界の倒産発生状況に関する調査・分析結果を公表した。

今年1~10月に35件発生しており、昨年1年間の件数(22件)を上回り、過去最多を更新したと説明。同社は「軽貨物運送ではフリーランスの委託ドライバーや小規模零細企業が多く、件数に表れない廃業などを含めればより多くの軽貨物運送業者が淘汰されている可能性がある」との見方を示した。

収益状況を見ると、22年度は軽貨物運送の23.9%が「赤字」、減益を含めた「業績悪化」は56.9%と過半数に達した。


(いずれも帝国データバンク提供)

同社は、2024年以降は時間外労働の上限制限でマンパワー不足が表面化するとみられるほか、参入事業者の増加による低価格競争の激化、インボイス制度導入によるコスト増など課題が山積していると指摘。

「各種負担に耐え切れずに事業継続を断念する中小の軽貨物運送業者が今後も増加すれば、質の高い宅配網が維持できなくなる『宅配クライシス』が現実となる可能性もある」と警鐘を鳴らしている。

集計期間は今年の10月末までと設定。負債1000万円以上の法的整理による倒産を対象にした。

(藤原秀行)

経営/業界動向カテゴリの最新記事