JR東グループなど、ドローンと上越新幹線連携させた新潟の海産品輸送実験を実施へ

JR東グループなど、ドローンと上越新幹線連携させた新潟の海産品輸送実験を実施へ

医薬品の取り扱いも

JR東日本新潟シティクリエイト(新潟市)は11月16日、AIR WINGS合同会社(東京都江戸川区)と国土交通省の無人航空機などを活用したラストワンマイル配送実証事業の採択を受け、過疎地域などの有人地帯上空を目視外飛行する「レベル4」に対応したドローン物流の実現に向けた実証事業を、新潟市、佐渡市と共同で実施すると発表した。

JR東日本グループが展開する列車荷物輸送サービス「はこビュン」と連携し、佐渡の新鮮な海産品(南蛮エビ・メガニ)をスピーディーに都心へ運び、東京都内の飲食店で、11月21、22の両日に来店者へ提供、PRする。

また、復路便での医療物資輸送の実現を目指し、ドローンポートを活用した配送物の自動受け取り機能と輸送品質の担保に向けた検証を併せて実施する。

JR東日本新潟シティクリエイトは、新潟駅で開発中の新駅ビル「CoCoLo新潟」や新潟県の新たな情報発信拠点「銀座・新潟情報館 THE NIIGATA」(ともに2024年春開業予定)を運営する強みを活かし、AIR WINGS合同会社とともに取り組む、ドローンと新幹線で結ぶ新しい物流動線の開拓を通じ、佐渡の魅力ある地産品の掘り起こしと情報発信に取り組む。

JR東日本新潟シティクリエイトは、JR東日本グループの新潟エリアにおける駅ビル事業や不動産事業などのほか、首都圏での新潟県の地産品や工芸品の販売やPRも手掛けている。

今回の実証事業は、新潟駅での新たなサービスの展開を検討する一環として、越佐海峡の「空の道」開拓に挑むドローンと上越新幹線を組み合わせ、地域の物流ニーズや新潟駅の物流トランジット機能を検証することを目的として実施する。

併せて、今後の新潟駅や周辺の開発に加え、首都圏での地産品の販売や地域情報の発信などに活かすことができるものと期待している。

ドローンはベンチャーの空解製eVTOL(電動垂直離着陸機)「QUKAI MEGA FUSION 3.5」を採用する。同機は離島間物流に求められる長距離飛行と高いペイロード(積載重量)を兼ね備え、国内のドローン物流実証で数多くの運用実績を重ねている。

越佐海峡の厳しい飛行環境にも耐え得る飛行性能を証明し、物流ドローンに求められる安全性、定時性、採算性を確保、社会実装を加速させていきたい考えだ。

ドローンの諸元
幅3.5m × 長さ2.4m × 高さ0.95m
機体重量:12.5㎏
最大離陸重量:24.0㎏
ペイロード:5.0㎏
飛行可能時間:70分(最大離陸重量時)
巡航対気速度:80km/h
飛行可能風速:10m/s

今回輸送する佐渡産海産品は南蛮エビとメガニを予定している。


南蛮エビ


メガニ

実証実験では、本邦初となる物流用eVTOL機と自動格納機能を有するドローンポート(専用離着陸設備)を連接させ、厳格な輸送管理が求められる医療関連品のドローン配送の社会実装を後押しすることを目指す。

輸送品質担保に向けた検証では、今回使用する機体と同型式のドローンで血液製剤輸送の検証実績を持つ伊藤忠商事が、機材の一部や測定機器を提供し、監修する。また、ドローンの運航については、米国で医療ドローン物流の飛行実績を数多く有するSprightの協力を得て、AIR WINGS合同会社が実施する。

ドローンポートはマルソーが佐渡島へ輸送・設置し、医療機関へのラストワンマイル配送に向けた運用手順を検証する。本実証を通じて、離島医療物流が抱える課題を解決する有効な手段となることを示していきたい考えだ。

使用機材

Wingcopter製 Wingcopter 198 (Spright仕様)

ドローンの諸元:
幅1.98m × 長さ1.67m × 高さ0.66m
機体重量:10.0㎏
最大離陸重量:24.9㎏
ペイロード:4.5㎏
飛行可能時間:40分(最大離陸重量時)
巡航対気速度:90km/h
飛行可能風速:10m/s


Spright製 Drone NEST

縦2.0m × 横2.0m × 高さ2.5m
主な機能
・配送物の自動格納
・防塵防水 IP54
・保管物の温度管理
・受取人への配送通知
・本人認証を用いた荷物の受け取り

(藤原秀行)※いずれもJR東日本新潟シティクリエイト提供

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