2024年問題考慮、納品条件緩和や共同配送促進も
伊藤ハム米久ホールディングス(HD)、日本ハム、プリマハム、丸大食品の食肉加工大手4社は12月1日、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」などに対応するため、「SDGsへの貢献と持続可能な物流のための食肉加工業界取組宣言」を公表した。
メーカーからスーパーなど小売店へ納品する際、ドライバーに対して納品先が強いている商品への値付け、店頭での商品陳列といった付帯業務の見直しを求めていくことなどを盛り込んだ。ドライバーの待機時間削減や業務負荷軽減を図るのが狙い。
政府が取りまとめた2024年問題対応の「物流革新に向けた政策パッケージ」を受け、4社も加盟している業界団体の日本ハム・ソーセージ工業協同組合が作成した自主行動計画に盛り込まれた内容のうち緊急性の高い取り組みを、配送・販売の関連業界とタッグを組みながら優先的に進め、食肉関連の物流を最適化していくことを目指す。
東京都内で会見した(左から)伊藤ハム・伊藤功一社長(伊藤ハム米久HD取締役常務執行役員)、日本ハム・井川伸久社長、プリマハム・千葉尚登社長、丸大食品・佐藤勇二社長(プレスリリースより引用)
宣言では、食肉加工業界は以前、配送と営業を同時に行っていた「ルートセールス」がメーンだったため、ドライバーが配送業務以外にも納品先指定場所への棚入れ、ケースの片づけ、店頭での陳列などを付加的なサービスとして行っていたと指摘。
しかし、各得意先の指定納品先への一括納品が主流となってルートセールスが大きく減少し、配送業務が専門のドライバーによって行われることが多くなった現在でも、業界特有の慣習として依然付帯業務が残っており、「トラックドライバーの負担増、長時間拘束などの原因となっている」と強調、小売側と見直しの協議を進める方針を示した。
併せて、定番商品の「納品リードタイム2日以上」への変更や「総量納品化」の推進といった納品の条件緩和をスーパーなどに要請するとともに、保存温度帯が同じ他の荷主事業者との連携や物流事業者への積み合わせ輸送の実施、中継地点での商品在庫を一定保管する体制の構築といった共同配送の推進も図る方向性を打ち出した。
(藤原秀行)