往復12kmを自動航行、重量物の備蓄用飲料水取り扱い
古河電気工業は12月4日、島根県美郷町と災害時を想定した特殊大型ドローンによる救援物資の運搬に関する実証実験を10月に実施したと発表した。
往復12kmを自動航行し、備蓄用飲料水(総重量12kg)の長距離運搬に成功した。同社は実験で判明した課題の解決などに取り組み、美郷町の防災・減災に向けたインフラ整備に協力していく構え。
自然災害が頻発・激甚化する中、美郷町が位置する中山間地域では、災害時に孤立する恐れがある地域が多数存在するため、ドローンを活用して救援物資を運搬する仕組みを整備するなど対策が急がれている。
同社は2020年11月に美郷町と包括的連携協定を締結し、22年からは古河産業と「林業イノベーション実証事業」で特殊大型ドローンを活用し、苗木や資材を急傾斜地に運搬する実証実験を実施するなど、ドローンに関する実績や知見を活用した中山間地域の課題解決に取り組んでいる。今回の取り組みもその一環。
今回の実証実験では、美郷町内を流れる江の川が氾濫して道路が通行止めになったと想定。特殊大型ドローンは、美郷町防災公園と吾郷公民館の往復12km(江の川上空を中心としたルート)を自動航行し、総重量12kgの備蓄用飲料水を空輸した。LTE(携帯電話用高速通信)回線・自動航行用プラットフォームを活用した自動航行により、背の高い樹木や送電線などを回避しながら片道10分の予定に対して誤差範囲でトラブルなく飛行できたという。
実証実験概要
日時 2023年10月25日(水)
場所 島根県邑智郡美郷町
内容
特殊大型ドローン(最大49kgの物資運搬が可能)により総重量12kgの備蓄用飲料水を運搬
美郷町防災公園と吾郷公民館の往復12km(江の川上空を中心としたルート)を自動航行
到着地点の公民館で飲料水を取り出し、常備しているバッテリに交換、出発地点の防災公園に戻る
今回の実証実験で使用した特殊大型ドローン
今回の実証実験で運搬した備蓄用飲料水
特殊大型ドローン着陸前の様子(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)