茨城・霞ヶ浦でAZ-COM丸和やeロボティクス
AZ-COM丸和ホールディングス(HD)とグループで電子情報保管サービスなどを手掛けるアズコムデータセキュリティ、ドローン関連事業などを担うeロボティクス(福島県南相馬市)は11月25日、茨城県の霞ヶ浦エリアで、ドローンとUGV(自動搬送ロボット)を組み合わせたラストワンマイル配送の実証実験を行った。
国土交通省の「無人航空機等を活用したラストワンマイル実証事業」の一環として実施。地元の特産品を使った料理などを、湖畔の公園を訪れたキャンパーやサイクリストに届けた。
実験を手掛けたeロボティクスなどは、政府が新設する方針を決めた、ドローンが無人地帯上空をより容易に目視外飛行できる「レベル3.5」の飛行を活用し、現地を訪れる観光客ら向けに霞ヶ浦湖畔でドローンを使ってフードメニューなどを届けるサービスの実用化を目指す方針を明らかにした。
実験に投入した特製のUGV
実証実験は、ドローンとUGVを連携させることで、ラストワンマイル配送の自動化・省人化を図るのが狙い。今回の霞ヶ浦を含め、全国で10のプロジェクトが進められている。
11月25日は、湖畔に位置する行方市天王崎公園まで、数km離れた地点から料理をドローンで届けた後、UGVで観光客らの元まで配達した。11月26日にも湖畔の別のエリアで同様の実験を予定していたが悪天候のため中止となった。
eロボティクスの板羽昌之代表取締役は、霞ヶ浦は約220㎢と日本では琵琶湖に次いで2番目に大きい湖で、対岸まで移動しようとすると湖周辺の道路を車で走った場合は1時間掛かることもあるため、ドローンの活用で輸送時間を大幅に短縮できると指摘。湖の上は障害物が限られ、飛行しやすいこともメリットとの見方を示した。
また、霞ヶ浦はサイクリングの人気スポットで、キャンプ場も周辺にあるため、ドローンとUGVを活用することで、霞ヶ浦を訪れたサイクリストやキャンパーが気軽に湖畔で食事したり、地域の特産品を購入したりできる環境を整備すれば観光振興にもつながると解説。ドローン物流の新たなモデルになると期待を見せた。
ドローンに関しては、コスト抑制とオペレーションの効率化を図るため、「1機だけ飛ぶのではなく、複数のドローンを一度に飛ばすことを考えている」と説明した。
霞ヶ浦のサイクリングロード
政府は無人地帯上空をドローンが空輸しやすくするため、現状は鉄道の線路や道路、船の航路のように人が立ち入る可能性がある場所の上空を飛ぶ際、補助者を置いて人が通らないよう誘導したり、看板を置いて周知したり、道路横断前には機体を一時停止させたりするなど、「立ち入り管理措置」を講じることを定めているが、ドローンの機体にカメラを搭載してリアルタイムで人の立ち入りがないかどうか確認できるようにすることなどを条件に、この規制を緩和する「レベル3.5」を新設する方針。
板羽代表取締役は、霞ヶ浦でのドローン輸送については、このレベル3.5を実現し、より迅速にドローン輸送のサービスを始められるようにしたいとの構想を示した。
実験に参加したアズコムデータセキュリティの秋山篤史BPO事業部長は、まだAZ-COM丸和グループとしてどのようにドローン物流に携わるかは確定していないと前置きした上で、eロボティクスの構想の実現に協力していきたいと強調した。
(藤原秀行)