物流分野向けにゼロ・エミッション技術を応用・拡大
トヨタ自動車は4月23日、米カリフォルニア州ロサンゼルス港で取り組んでいる貨物輸送のゼロ・エミッション化プロジェクトにて使用するFC(燃料電池)大型商用トラックを公開するとともに、今年秋から現地で貨物輸送オペレーションを開始すると発表した。
同プロジェクトでは温室効果ガスを500トン以上、窒素酸化物やPM10などの有害物質を0.72トンそれぞれ削減することを目標に掲げており、トヨタのFC技術を活用したトラック輸送の車両・社会インフラ両面からの環境対策に弾みがつきそうだ。
プロジェクトはロサンゼルス市港湾局が主導する「ZANZEFF:Zero-and Near Zero-Emission Freight Facilities Project」の一環。トラックによる大気汚染問題が深刻なロサンゼルス港、ロングビーチ港でFC技術などを用いた貨物輸送のゼロ・エミッション化を図ることを目的とするもので、トヨタは北米事業会社のトヨタ・モーター・ノースアメリカを通じて米トラックメーカーのケンワース、石油メジャーのシェルとともに参画している。
導入するFC大型商用トラックは10台。トヨタが2017年から行ってきた1万4000マイル(2万2530キロメートル)以上の走行実証で得られた知見を基に、ケンワースのトラック「T680」をベースに用いた。パワートレーンはトヨタ「ミライ」のFCシステムを応用・搭載している。航続可能距離は平均的な1日の輸送距離から2倍の300マイル(約480キロメートル)。
画像はトヨタ自動車ニュースリリースより
ロサンゼルス港を基点に近隣のインランド・エンパイア地域やウィーニーミー港周辺、北部のメルセド郡などのエリアで貨物輸送を行う見通し。当初は1台でオペレーションを開始し、順次10台まで拡充していく。運行ではトヨタの物流事業を担う米トヨタ・ロジスティクス・サービシス、現地貨物輸送事業者のユナイテッド・パーセル・サービシス、トータル・トランスポーテーション・サービシス、サザン・カントリーズ・エクスプレスが参加する。
シェルは燃料サプライヤーとしてロサンゼルス市のウィルミントン地区と内陸部のオンタリオ市にFC大型商用トラック用大型水素ステーション2基を新たに建設。プロジェクトではバイオマスから水素を生産するトライジェンのステーションも含めたトヨタ施設内の3ステーションと合わせて計5基の水素充填ネットワークを使用する。
またトヨタはウィーニーミー港にゼロ・エミッションのトラクター2台を新たに導入するほか、同社が港湾倉庫で使用するフォークリフトのゼロ・エミッション化も拡充。港湾敷地内や倉庫におけるゼロ・エミッション技術の応用・拡大を推進していく方針だ。
(鳥羽俊一)