収益悪化やコスト高騰受け、24年秋以降の実現目指す
総務省は12月18日に開催した「情報通信行政・郵政行政審議会」に、郵便料金を値上げする郵便法施行規則改正案を諮問した。
SNS普及で郵便物の取り扱いが減少していることによる収益減やコストの高騰などを踏まえた措置。日本郵便は2022年度に、郵便事業の営業損益が211億円の赤字に落ち込み、民営化後初の赤字となった。
25グラム以下の定形の郵便封書は料金の上限を現在の84円から110円に、50グラム以下も94円から110円にすることなどが柱。はがきも上限を63円から85円に引き上げる。
審議会は2024年中に了承する公算が大きく、日本郵便は総務省令の改正を受け、2024年秋にも料金を値上げすることを目指す。
封書の料金は消費税引き上げを除けば、1994年以降料金を据え置いている。値上げに踏み切れば約30年ぶり。
郵便封書は現在、25グラム以下と50グラム以下の2区分に分かれているが、値上げによりいずれも110円に統一する。
定形外郵便なども約3割値上げする方向。今年10月に値上げしたばかりの書留などは料金を据え置いている。
日本郵便の千田哲也社長は12月13日付で、総務省の玉田康人郵政行政部長宛てに文書で値上げの検討を要請。「郵便サービスの安定的な提供を維持するためには、郵便物数(郵便営業収益)の太宗を占める第一種郵便物も含めた郵便料金の早期引き上げをお願いせざるを得ない」と訴えている。
ただ、既に郵便物の配達のリードタイム延長で利用者は不便を被っており、総務省や日本郵便の思惑通り、利用者の理解が得られるかどうかは予断を許さない。
(藤原秀行)