自転車の違反に「青切符」導入を提言、車道走行時に一定の間隔空けるようドライバーに義務付けも

自転車の違反に「青切符」導入を提言、車道走行時に一定の間隔空けるようドライバーに義務付けも

警察庁が有識者検討会の中間報告書公表、24年の通常国会に法改正案提出目指す

警察庁は12月21日、「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する有識者検討会」(座長・川本哲郎元同志社大学教授)が取りまとめた中間報告書を公表した。

自転車が絡んだ交通事故や歩行者と接触する事故が増加傾向にあるほか、自転車が当事者となった死亡・重傷事故の4分3程度で自転車側の法令違反があったことを考慮。政府が2025年までに交通事故から24時間以内の死者数を2000人以下に抑える目標を掲げていることも踏まえ、現状の交通ルールの見直しを求めている。

具体的には、自転車の運転者による交通違反を対象に反則金制度(交通反則通告制度)を導入するよう提唱。併せて、車道を走る自転車を保護するため、横を通過する自動車などは一定以上の間隔を空けるよう義務付けることなども求めている。

検討会は年明け以降、最終的な取りまとめを決定。警察庁はその内容を踏まえ、2024年の通常国会に道路交通法の改正案を提出することを目指す。

酒気帯びや運転中の携帯電話使用に罰則

反則金制度は1967年から自動車やバイクを対象に運営。飲酒運転などの悪質で重大な違反を除き、軽い違反の場合は警察が違反者に「交通反則切符(青切符)」を渡し、違反者は期限内に反則金を払えば刑事処分を免れることができる。

自転車に関しては、悪質な違反の場合は刑事処分を科す対象となる「交通切符(赤切符)」を交付、取り締まっているが反則金は対象外だった。しかし、赤切符の事案でも捜査に負担が掛かることなどから、実際に起訴まで至るケースは少なく、違反の抑止力として限界があった。

提言は、こうした状況を踏まえ、自転車を反則金制度の対象に加えるのが望ましいと明言。その際、運転者の対象年齢は16歳以上とし、信号無視や指定場所での一時不停止などを青切符の対象にするよう定めている。

また、自転車の酒気帯び運転や、運転中の携帯電話使用に関し、罰則を新たに設けることも打ち出している。反則金の具体的な額は別途、政令で設定する見通し。

併せて、車道を走る自転車の安全を守るため、自動車などのドライバーに対し、一定程度間隔を空け、適切な速度で通り過ぎるよう義務化することも盛り込んでいる。具体的に開ける距離は反則金と同様、政令で設定する。

このほか、事故防止のため、官民が連携した協議会を政府が設立し、交通安全の教育に関する指針を策定、自転車のユーザーに対し、世代に応じた安全教育を施せるようにすることも示している。

(藤原秀行)

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