耐空性確認せず離陸など判明
国土交通省は12月22日、日本航空(JAL)の一部国内線で不適切な整備作業があったとして、JALグループで航空機整備を手掛けるJALエンジニアリングに対し、同日付で航空法に基づく業務改善勧告を出した。
再発防止策を検討し、2024年1月16日までに報告するよう指示した。
国交省によると、今年9月、国内便のJAL623便(羽田発熊本行)の機体整備を行った際、航空法で定めている作業後の機体の耐空性確認を一部行わないまま、羽田空港を離陸した。JALエンジニアリングはその後、実施していないことに気づいたが必要な対応を講じず、同機で計4便を運航した。
また、国交省が9月、このトラブルを受けてJALエンジニアリングを監査した結果、JALが運航するボーイング767型機のブレーキ交換作業で部品が適切に組み上がっていることを確認するための計測について、航空機メーカーのボーイングが要求する計測機器(ゲージやノギス)を用いていないケースが多数あった。
昨年10月、JAL317便(羽田発福岡行)で発生した部品欠落のトラブルを受け、JALグループが適切な作業と計測の実施を再発防止策に位置付けていたが、順守されていなかったことになる。
JALエンジニアリングは12月22日、田村亮社長名で「多くの皆様にご迷惑とご心配をおかけしていることを心よりおわび申し上げる。今般の行政指導における『講ずるべき措置』でご指摘を受けた事項に対しても、経営が先頭に立って速やかに有効な対策を講じ、着実に実行してまいる所存だ」と謝罪する談話を発表した。
(藤原秀行)