「2024年問題」に対応、ドライバーからは危険と批判の声も
警察庁は12月22日、高速道路の最高速度の見直しに関する有識者の検討会を開催し、車両総重量が8t以上の中・大型トラックの最高速度を現行の時速80kmから90kmに引き上げることは可能との認識で一致した。
トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」に対応、より早く荷物を運べるようにするのが狙い。
検討会は衝突被害軽減ブレーキといった安全装置の普及が進み、性能も向上しているため交通事故件数自体が減っていると指摘。8t以上のトラックは90kmを上限とする速度抑制装置の装着が義務付けられていることも踏まえ、90kmまで引き上げても交通の安全に大きな影響をもたらすことはないと結論付けた。
一方、90km以上まで引き上げることは、安全性が十分確認できていないとして見送った。トレーラーについても引き上げの対象外としている。
警察庁は24年4月からの実施に向け、関係政令を改正する方針。ただ、トラックドライバーらからは「引き上げは危険」などと反発する声が多く出ており、円滑に実施できるかどうかは予断を許さない。
現在の速度規制は道路交通法施行令で定めており、普通車など多くの自動車が時速100kmとなっているほか、8t未満のトラックは既に時速100kmまで引き上げられている。都道府県の公安委員会がそれ以上の速度を指定している区間もある。その一方、8t以上のトラックなどは80kmと設定している。
物流業界からは2024年問題を踏まえ、輸送時間を短縮するため最高速度を引き上げるよう求める声が出ており、今年6月に政府が策定した2024年問題に対応する政策パッケージの中でも、安全を確保するための技術動向などを踏まえた上で、引き上げる方向で調整する方針を示していた。
(藤原秀行)