割安販売の専用サイト開設、社会貢献活動にも寄付可能
東証マザーズ上場でインターネット関連サービスを手掛けるオークファン傘下のSynaBiz(シナビズ)が中軸事業に据えている、企業の抱える余剰在庫の再流通支援サービスで新たな展開に乗り出した。
東京ガスと組み、独自のショッピングサイトを4月25日に開設。賞味期限が迫っているものの品質には問題のない食品や、パッケージの変更で店頭に並ばなくなった日用品などを割安で販売する。購入額の一部は社会貢献活動に寄付できるため、利用者にとってもメリットが大きいのが特色だ。
シナビズは社会的信用度の高い東京ガスと連携し、自らのサービスの意義をより多くの人に周知していきたい考えだ。
新たに開設した「junijuni sponsored by TOKYO GAS」※クリックで拡大
配送や在庫管理は佐川急便が担当
両社が開設したのは「junijuni sponsored by TOKYO GAS」。タイトルの「junijuni(ジュニジュニ)」は、2015年に国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の中で打ち出している「目標12:つくる責任、つかう責任」にサイトの趣旨が合致するとして、12(ジューニ)に重ねて名付けたという。
シナビズが展開しているサイト「Otameshi(オタメシ)」のノウハウを積極的に活用。販売している商品はお菓子や乾麺、ミネラルウォーター、清涼飲料水、香水、サプリメントなど多岐にわたる。シナビズがメーカーから取得した在庫を割安に販売し、購入した代金の中から国際的な人道援助や動物保護、環境保護、途上国支援などの活動を行っている団体へ寄付できる。
新たなサイト運営の仕組み(東京ガス、オークファンのプレスリリースより引用)※クリックで拡大
利用を促進するため、7月末までの期間限定で購入者に対し、東京ガスのインターネット会員サービス「myTOKYOGAS」会員向けポイントを付与する。配送や商品保管などの物流部分はシナビズと業務提携している佐川急便が担当する。
シナビズは企業の抱える余剰在庫や返品、型落ち品などを買い取り、多様なチャネルを通じて再び市場に流通させる「リバリュー事業」を展開。その背景には、商品サイクルが短くなり、品質は全く問題ないのに行き場がなく廃棄される余剰在庫や返品が国内だけでも膨大な量に上っていることがある。
ただ、たたき売り同然の価格で一般の消費者に再販売されると現行品の値段やブランドイメージに悪影響を及ぼすと懸念する企業が多く、どこに商品が流れていくのか把握できなくなるのを懸念する向きも少なくない。
そうした声に配慮し、シナビズは多様な再流通のチャネルを確立。日本製品への人気が高い海外に輸出したり、提携企業に社販用商品として扱ってもらったり、販促のノベルティーとしてイベント会場で無料配布してもらったりと、店舗を経由しないクローズドなマーケットも準備している。
さらに要望があれば、シナビズの物流センターで商品のタグやロゴを切り取ったり、段ボール箱をロゴ入りのものから無地のものに詰め替えたりする加工を施した上で出荷。再販の価格を重視する事業者には、シナビズが提供する独自のBtoB向け会員制モールで扱うルートも用意している。今回の新サイト開設もそうした取り組みの一環と位置付けられる。
(藤原秀行)