【現地取材】イケアが群馬・前橋の北関東初大規模店舗を公開、ネット通販の発送拠点としても展開

【現地取材】イケアが群馬・前橋の北関東初大規模店舗を公開、ネット通販の発送拠点としても展開

愛知の倉庫から内航船で商品輸送、トラックの走行距離短縮図る

イケア・ジャパンは1月11日、群馬県前橋市で1月18日に営業を開始する新たな大規模店舗「IKEA前橋」をメディアに公開した。地上2階建て、売り場面積は約1万㎡で、取り扱う家具や雑貨は約9500点に上る。

国内の郊外型大規模店舗としては10カ所目で、北関東エリアは初めて。商圏を広げて実店舗の販売を伸ばすとともに、インターネット通販の出荷拠点としても運営し、実店舗とECを融合させて利便性を高め、利用拡大につなげるオムニチャネル戦略を加速させたい考え。

また、イケア・ジャパンが物流面で基本としている、トラックの長距離輸送回避の方針をIKEA前橋でも踏襲。愛知県弥富市の同社物流拠点から商品を運ぶ際、前橋までトラックで長距離輸送する代わりに、まず名古屋港から内航船で川崎港まで輸送した上で、陸揚げして店舗まで陸送するルートを設定。トラックが運ぶ距離をなるべく短くできるよう配慮している。荷主企業が「2024年問題」への対応を考える上で参考になりそうだ。


IKEA前橋の外観(イケア・ジャパン提供)


店舗内には間取りや家族構成などを細かく設定し、イケアの家具や雑貨を組み合わせて住む人のニーズに応えた姿を提案するショールームを41種類設置、訪れた人がイメージしやすくなるよう工夫している

他の大規模店舗と同じく、使用する電力は100%再生可能エネルギー由来のものを使う計画を立てている。店舗屋上に太陽光発電パネルを1387枚取り付け、蓄電池も整備。今後はパネルを追加で864枚導入し、トータルで2000枚超まで拡充、店舗で使う電力の36%を自ら賄う予定。残りは電力小売市場経由で再生可能エネルギー由来の電力を調達する。

他にもエネルギー管理システムの採用、雨水の再利用、AIを使ったレストランからの食品廃棄物最小化などを実施する。商品を梱包している段ボールは今夏に専用圧縮機を取り入れ、資源ごみとして運搬しやすくすることを念頭に置いている。

イケア・ジャパンは「国内の店舗で最もフットプリント(環境負荷)が低い運営を目指す」と説明している。

他の大規模店舗と同じく、商品の倉庫を併設。来店客は一部の商品を自ら選んで持ち出し、会計を済ませられるようにする。並行して大型家具などを北関東や新潟、長野の各エリアへ出荷する機能も持たせる。


イケアファンにはおなじみの商品倉庫

イケア・ジャパンは梱包に関しても1度により多くの商品を納められる設計を採用し、店舗では梱包を開けた状態でそのまま販売できるようにしており、トラックの積載率向上や店舗陳列作業の効率化を図っている。IKEA前橋でもその基本は継承する。

IKEA前橋で同日、記者会見したイケア・ジャパンのペトラ・ファーレ社長兼CSO(最高サステナビリティ責任者)は「IKEA前橋は物流拠点としてオンラインのお客様のニーズに寄り添い、より適切にサポートしていきたいと考えている。当社のオムニチャネル化の道のりの中でIKEA前橋は非常に重要な一歩となっている」と強調した。


より多くの商品を入れられる梱包の一例。この梱包には食器1200枚をセットできる。一度に大量に扱えるようにし、コストと手間を抑えて手ごろな価格を実現している


会見するファーレ氏


約10年間、店舗開発予定地に立ち続け、地元の名物?にもなっていたイケアの看板と撮影に応じるファーレ社長と野山和美IKEA前橋店長


ソフトクリームやホットドッグなどのフード商品を店舗の外から購入できる「Bistro window(ビストロ ウインドウ)」を初めて設置する

(藤原秀行)

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