道路貨物運送業の倒産、23年は3割増で9年ぶり300件突破

道路貨物運送業の倒産、23年は3割増で9年ぶり300件突破

東商リサーチ調査、物価高影響が7割

東京商工リサーチ(TSR)は1月12日、2023年の道路貨物運送業の倒産件数が14年以降の10年間で最多の328件(前年比32.2%増)になったと発表した。14年(310件)以来、9年ぶりに300件を超えた。

このうち、原油高や円安を背景に、燃料費高騰などの物価高が影響した倒産が121件(75.3%増)、ドライバーなどの「人手不足」関連倒産が41件(127.7%増)と大幅に増えた。

TSRは「価格転嫁が難しい小・零細事業者の倒産が増えており、運送業界の構造改革と同時に、企業側も物流体制の見直しが急務になっている」と指摘した。


倒産件数の動向(プレスリリースより引用)

月別では、12月が41件(前年同月比36.6%増)発生し、23年の年間で最多を記録した。月間40件台に乗せたのは13年6月以来、10年6カ月ぶりで件数の増勢が際立っている。

形態別では「破産」が299件(32.8%増)と全体の9割超を占めた。TSRは「物価高騰や人手不足などで先行きを見通せず、破産を選択せざるを得ない苦境を示す」と分析した。

資本金別では、1000万円以上は90件(11.7%減)となった半面、1000万円未満は238件(63.0%増)と大幅に増加。小・零細企業が厳しい状況に置かれていることを示唆している。

原因別は、最多の「販売不振」が237件(36.2%増)で、全体の7割に到達した。次いで「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が35件(前年同数)、「他社倒産の余波」が15件(36.3%増)、「事業上の失敗」(42.8%増)と「運転資金の欠乏」(400.0%増)が各10件で続いた。

『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は275件(31.5%増)で全体の8割に上った。

(藤原秀行)

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