経済安全保障の「基幹インフラ」に一般港湾事業者を追加へ

経済安全保障の「基幹インフラ」に一般港湾事業者を追加へ

政府が有識者会議で表明、今国会に法改正案提出

政府は1月29日に開いた「経済安全保障法制に関する有識者会議」で、経済安全保障推進法に基づき、事業を手掛ける企業が重要な設備を導入する際に政府が情報セキュリティーの対策が適切に講じられているかどうかなどを事前審査する「基幹インフラ(特定社会基盤)」の対象分野に、港湾のコンテナターミナルの積み降ろし作業などを取り仕切る一般港湾運送事業を新たに追加する方針を示した。

出席した有識者からは特段異論が出なかった。政府は現在開会中の通常国会に、2月中にも同法の改正案を提出する。

基幹インフラは現時点で、同法で電気やガス、石油、水道、鉄道、貨物自動車運送、外航貨物、航空、空港、電気通信、放送、郵便、金融、クレジットカードの14分野と定めているが、港湾関連は含まれていなかった。

昨年7月、名古屋港でサイバー攻撃を受けた管理システムがランサムウェア(身代金要求型ウイルス)に感染して障害を起こし、コンテナターミナルのオペレーションが2日以上ストップした件を受け、政府は経済安全保障を担保するためには港湾の情報セキュリティー対策強化が不可欠と判断。

国土交通省が設置した有識者会議も1月24日、同法の基幹インフラに一般港湾運送事業を加えることを求める最終取りまとめを決定していた。

同日の政府の有識者会議では、医療機関については現状では基幹インフラに指定しない方向で検討することでも一致した。

(藤原秀行)

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