グリッドが船舶の最適航路探索可能なツールを開発、25年夏ごろの提供開始目指す

グリッドが船舶の最適航路探索可能なツールを開発、25年夏ごろの提供開始目指す

開発完了、燃料費抑制やCO2排出削減に期待

AIを活用した計画立案システムなどを手掛けるグリッドは2月8日、船舶の最適航路を探索できるツール「ルートファインダー」の開発が完了したと発表した。

海運業界で脱炭素の潮流が強まり、効率的な航海による輸送コスト削減が強く求められているのに対応する。同社はSaaSの形式で提供することを視野に⼊れており、2025年夏ごろのサービス提供を⽬指し、探索の精度向上などを続ける。

ルートファインダーは港の間の距離を算出するのに加え、任意の緯度経度を設定して船舶の位置から港までの最適な航路を探索することも可能。さらに、船舶速度の設定に加え、波⾼、波向、波速といった気象予報を考慮した気象ルーティング機能を使うことで、港までの精緻な到着時刻と到着までに費やす燃料コストを算出、可視化する。


(グリッド提供)

船のオペレーターが最適な海運オペレーションを⾏うための意思決定を⽀援する。一例として、ルートファインダーの到着時間推定機能を⽤いて、⾃社船と他社船が港で競合する可能性があると分かった場合、オペレーターは船⻑に運航速度を上げるよう指⽰し、不要な沖待ち時間を減らして船舶の稼働率を高められると説明。

逆に、港での競合を避けるために、オペレーターは船⻑に運航速度を下げるよう伝えることで燃料費を削減できると見込む。状況に応じて別港へルートを変更するなど、効率的な運航計画を立案できるようにしている。港への到着時刻を事前に把握できるため、乗務員のスケジュールを適切に調整することにも生かせると見込む。

グリッドが試算したところ、⼤型の外航船の場合、年間8~10回の航海のうち1回でルートファインダーを使って運航速度を適切にコントロールした場合、1隻当たり燃料費を年間約1100万円減らせると見込む。燃料使⽤量削減によりCO2排出量も年間約395t抑えられるという。

ルートファインダーはまず、個別の顧客へ機能提供する形での実装を想定している。

(藤原秀行)

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