荷待ち・荷役時間削減や輸送能力増加へ規制的措置導入する2法改正案を閣議決定★続報

荷待ち・荷役時間削減や輸送能力増加へ規制的措置導入する2法改正案を閣議決定★続報

「2024年問題」対応、施行から3年で16%増加目指す

政府は2月13日の閣議で、「2024年問題」への対応として、一定規模以上の荷主企業や物流事業者を対象に物流拠点での荷待ち時間短縮やトラックの積載率向上を図るよう義務付けることなどを柱とした、物流総合効率化法(物効法)と貨物自動車運送事業法の改正案を決定した。

対象企業の取り組みが不十分と判断した場合、政府が当該企業に是正を勧告・命令し、違反すれば罰金を科せるようにするなど、強制力を持った規制を導入。さらに、元請けのトラック運送事業者に対し、具体的にどのような下請けの事業者に業務を発注しているかや、どのような内容で業務を発注したかを記録することなども義務化する。

トラックドライバーの負荷軽減と待遇改善につなげるとともに、物流業界全体で輸送能力を増加させ、“物が運べなくなる”事態を回避するのが狙い。多重下請け構造を背景とした運賃の値下げなどの不公平な取引関係の是正も図る。

政府は今国会での成立を目指しており、改正法の施行から3年で、2019年度の実績より荷待ち・荷役時間を平均で年間125時間/人削減することや、積載率向上による輸送能力を16%増やすことを目標に掲げている。今国会で可決、成立すれば政府は2024年度中にも施行する方向だ。

法改正案は併せて、ECの普及に伴う荷物増などで貨物軽自動車の死亡・重傷事故が目立っていることを受け、運送事業者への安全規制を強化することも盛り込んでいる。


法改正の概要(国土交通省公表資料より引用)

大手荷主に「物流統括管理者」の選任定める

物効法の改正案は、法律の名称を「物資流通効率化法」に変更した上で、荷主企業や物流事業者に対し、物流業務の効率化に向け荷待ちや荷役の時間短縮とトラックの積載率向上に取り組むよう努力義務を設けた上で、政府が設ける判断基準に従って指導・助言できるようにする。

さらに、荷物の取扱量が一定規模以上の荷主や物流事業者を「特定事業者」に指定し、荷待ち・荷役時間の短縮や積載率向上のための具体策を列挙した中長期的な計画を策定、監督官庁へ提出するとともに、定期的に進捗状況などを報告するよう義務付ける。

併せて、特定事業者の荷主には、計画を進める上で中心となり企業全体を率いる「物流統括管理者」を選任するよう義務化する。欧米で普及が進んでいるCLO(最高ロジスティクス責任者)の配置を荷主企業で促進する狙いがある。

政府は事業者の取り組みが計画より遅れている場合などに是正するよう勧告し、従わない場合は社名を公表したり、より強く是正を命令したりできるようにする。勧告や命令を出すのに際しては、政府が事業者に立ち入り検査することが可能。

事業者が是正命令に違反したり、物流統括管理者を置かなかったりした場合、最大で罰金100万円を科せるようにする。中長期的な計画を提出しなかったり、定期的な報告を怠ったり、立ち入り検査に協力しなかったりした場合も最大50万円の罰金を科せるようにする。

政府は規制的措置の導入により、運送事業者を多く使う大手の荷主や元請けに対して物流業務効率化をより強く迫ることで、産業界全体の機運を高めていくことを念頭に置いている。

下請け発注適正化へ管理規定作成や責任者選任も

また、貨物自動車運送事業法の改正案は、元請けの物流事業者に対し、具体的にどのような下請けの事業者に業務を発注しているかや、どのような内容で業務を発注したかを記録する「実運送体制管理簿」の作成を義務化。

加えて、荷主や運送事業者、利用運送事業者に対し、運送の契約を結ぶ際、事前に運送のサービス内容や運賃を記した書面を交わすことを義務化。その場合、積み降ろしなどの荷役の料金や燃料サーチャージの金額を盛り込むことも定める。

また、トラック運送事業者や利用運送事業者には、下請けに仕事を発注する内容を適正化するよう努力義務を明記し、一定以上の規模を持つ事業者は適正化に関する管理規定の作成と管理を担う責任者の選任を義務化する。

不利な状況に置かれがちな下請けの事業者を保護し、運賃などの交渉を通じてドライバーの賃上げに不可欠な原資を確保できるよう後押しする。

並行して、軽貨物車両の輸送事業者には、安全に関する知識を有する管理者を営業所ごとに選任し、講習を定期的に受けることや、一定規模以上の深刻な事故を起こした場合、国土交通相へ報告することなども定めている。国交省が軽貨物車両の輸送事業者に関連した事故の報告や安全確保命令に関する情報を公開することも加えている。

(藤原秀行)

法改正の関連資料はコチラから(国交省ホームページ)

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