国交省が検討委の最終取りまとめ公表、DX・GX促進も訴え
国土交通省は2月16日、「新しい国際コンテナ戦略港湾政策の進め方検討委員会」(座長・河野真理子早稲田大学法学学術院教授)の最終取りまとめを公表した。
国際コンテナ戦略港湾に指定している京浜港や阪神港の存在感を高めるため、2024年度から5年間程度の政策の方向性に関する意見を集約しており、昨年6月に発表した中間取りまとめの内容を基本的に踏襲、発展させている。
現行の政策で軸に据えている、国際コンテナの取り込みを図る「集貨」、国際コンテナ戦略港湾に関連産業を集積する「創貨」、港湾の機能高度化と脱炭素化を進める「競争力強化」の3点を今後も継続するよう提唱。船社と荷主企業、港湾雲影会社などが連携・協力する体制の構築を求めた。
政策目標は国際コンテナ戦略港湾で「北米・欧州航路をはじめ、中南米・アフリカなど多方面・多頻度の直航サービスを充実させることで、わが国のサプライチェーンの強靭化を図り、グローバルに展開するわが国立地企業のサプライチェーンマネジメントに貢献する」ことを掲げた。
併せて、政府が「2024年問題」対策の一環として内航海運へのモーダルシフトを加速させる方針を打ち出しているのに国際コンテナ戦略港湾としても対応することを明確に示した。
労働力不足や脱炭素、サイバーセキュリティなどの観点からも、港湾関連事業のDX、GX(グリーントランスフォーメーション)を推進するよう主張した。
(国交省発表資料より引用)
複合機能持つ物流施設の進出支援
最終取りまとめは、アジア諸国に進出している日系企業などの北米・中南米向け貨物を中心に、広域で集荷できる輸送ルートを構築することや、国際トランシップ(積み替え)貨物にも対応できるよう流通加工や再混載など複合機能を持つ物流施設の港湾周辺への進出支援や手続き円滑化にも取り組むよう要請した。
世界的な潮流の船舶大型化に対応するとともに積み替えの円滑化も可能にするよう、大水深・大規模コンテナターミナルを形成することや、荷役機器への水素燃料電池搭載、LNG(液化天然ガス)やアンモニアなど次世代燃料のバンカリングへ対応することも訴えた。
2024年問題を踏まえて企業が鉄道貨物や内航海運をより使いやすくすることを提案。国際コンテナ戦略港湾と内陸地域などを結ぶ海上コンテナ専用列車(ブロックトレイン)の早期実現を目指す方針も打ち出した。
(藤原秀行)