災害用備蓄食料、東北6県の国出先機関の4割が更新時に全て廃棄

災害用備蓄食料、東北6県の国出先機関の4割が更新時に全て廃棄

総務省調査で判明、平時の適正管理検討急務に

総務省東北管区行政評価局はこのほど、東北6県に所在している国の出先機関や自治体などを対象に、災害用の備蓄食料や飲料水の保管・更新に関する実態調査結果を公表した。

2015~17年度に食料や飲料水を更新した国の69機関のうち、全て廃棄していたのが42・0%の29機関に上る一方、全てを何らかの形で活用していたのは36・2%の25機関にとどまった。一部を利用もしくは廃棄していたのは21・8%の15機関だった。

全て廃棄した理由としては、活用に関する指針が国に存在していないことや、賞味期限を迎えるか迎える直前まで備蓄した上で更新しているため活用が難しいことを挙げる向きが多かった。

17年度に一部廃棄分も含めると、保存食は約1万2900個、水は約1万5600リットルが捨てられた計算となる。同局は「社会全体として食品ロスの削減を一層進めるため、更新時期を迎えた災害備蓄食料をどのように取り扱うのか、有効活用に取り組んでいる機関の例も参考に、活用方策や課題への対応などについて検討することが望まれる」と話している。

災害備蓄食料は避難所などに十分行きわたらないといった輸配送の問題が頻繁に伝えられるが、平常時の適正な保管についてもロジスティクスの観点から国の検討が急務といえそうだ。

賞味期限迫るものを中学校に配布し防災教育活用も

調査結果によると、全て廃棄していたのは東北総合通信局、仙台法務局、仙台高等検察庁、東北財務局、仙台国税局、仙台管区気象台など。全て活用していたのは東北管区警察局、福島復興局、東北公安調査局、東北厚生局など。

全て活用していた25機関では、全体の6割強の16機関が防災訓練などに充てていたほか、職員や学生らに配布していたのも8機関あった。

具体的な活用例としては、秋田河川国道事務所は地域の住民や学生らを対象とした国土交通行政の出前講座で、災害時の食生活を体験・理解してもらうため、賞味期限が迫っている災害備蓄食料を所管内の中学校に配布したという。

22の国立大学法人のうち、3法人も全て廃棄していたが、全体の7割弱の15法人は全て活用していた。23の独立行政法人は全て廃棄したところはなかった。

(藤原秀行)

調査結果資料のダウンロードはコチラから

政策カテゴリの最新記事