低コストで環境配慮、汚染物資分離に活用も検討
商船三井のCVC（コーポレートベンチャーキャピタル）、MOL PLUSは3月8日、レアメタル（希少金属）の回収・リサイクルなどを手掛けるスタートアップのエマルションフローテクノロジーズ（茨城県東海村、EFT）への出資を決定したと発表した。具体的な額は開示していない。
EFTは高い生産性、低コストかつ環境に配慮した方法で高純度なレアメタルを溶媒抽出できる技術「エマルションフロー」により、従来は大規模集約型でしか実現できなかったリチウムイオン電池に含まれるレアメタルの回収・再利用を、小規模分散型で市場が立ち上がる前に社会実装することを目指している。EFTは本技術を工場排水浄化など環境汚染物質の分離回収に活用することも検討しているという。
MOL PLUSは、EFTの取り組みがレアメタル資源の採掘に伴う資源不足の解決に大きく寄与すると期待。資源のサーキュラーエコノミー（循環経済）をEFTと実現するため、特に東南アジア・インドにおけるサプライチェーン構築をEFTや連携パートナー企業と協調、構築していきたい考え。
エマルションフローは原子力機構で生まれた溶媒抽出法の一つ。液相どうしを「混ぜる」「置く」「分離する」の3工程を必要とする従来の溶媒抽出技術ミキサーセトラーに対して、単純な送液と撹拌のみで理想的な溶媒抽出を可能とする革新的手法という。
MOL PLUSはミキサーセトラーに比べて高効率なエマルションフローは溶媒抽出プラントの小型化を実現し、低コストで高純度レアメタルの精製を可能にできるのが特徴と説明している。
（藤原秀行）※いずれもMOL PLUS提供
