ハマキョウレックス、近物レックスの部長兼支店長が2億円超を架空・水増し請求

ハマキョウレックス、近物レックスの部長兼支店長が2億円超を架空・水増し請求

社内調査委が報告書、内部統制や人材教育の不備指摘

ハマキョウレックスは3月13日、傘下の近物レックス従業員1人が不適切な取引をしていた問題に関し、社内調査委員会から調査報告書を受け取ったと発表した。

不正の金額は合計で2億1600万円に達したと説明。ただ、過年度の連結財務諸表への影響は限定的のため、有価証券報告書などの訂正は行わないという。

調査報告書によると、今年1月から名古屋国税局の税務調査が入った際、近物レックスの部長兼支店長の個人口座に近物レックスの下請け配送事業者から一定の入金がされていることが判明。

そこから、部長兼支店長が下請け代金の架空・水増し請求を事業者にさせ、その請求額からのキックバックを自らの口座に振り込ませている疑いが浮上した。

部長兼支店長は配送中の事故が起きた際、自らの評価に影響することを恐れ、損傷した商品の補償などを自腹で補っており、その額はセンター長に就任した2011年7月から約3年間で約200万円に達していたという。

部長兼支店長は当該の下請け配送事業者の代表取締役の父親と懇意にしており、13年11月ごろに、自腹を切っていることを相談。そこで、損失を補うために、架空・水増し請求を提案されたという。

ただ、この父親は、不正行為は部長兼支店長からの提案で実行に至ったと説明しており、両者の言い分は食い違っているという。

架空・水増し請求で得たキックバックは、おおむね部長兼支店長が90%、父親が10%の割合で受け取っていた。また、当初は部長兼支店長が自身の損失をカバーすることが不正の目的だったが、実際に不正で得た資金の多くは遊興費や株式投資に使っていた。

2008年9月から23年12月までの架空・水増し請求額は合計で1億4000万円に上ったと推測している。

この件に加えて、部長兼支店長は別々の取引先とそれぞれ共謀して同様の不正行為を計2件行っていたことが判明。オープンした新店舗への配送の名目で貸切代車料を水増し請求するなどしていた。

架空計上額は3件で約2億1600万円(税別)に達し、キックバックとして約1億1400万円を受け取っていた。

調査報告書は部長兼支店長の行為を「動機としては自己中心的で極めて悪質かつ卑劣」と厳しく批判。

同時に、「主要な要因はこのような機会を与えるという不正行為を抑止するためのけん制機能が有効となっていなかった近物レックスの物流センター業務における貸切代車に関する内部統制の不備と、倫理観を欠如せしめ、キックバックを正当化させるという、不正への抵抗感が低い心理状態を醸成した人材教育の不備が考えられる」と強調、ハマキョウレックスの対応を非難し、再発防止策を講じるよう求めた。

(藤原秀行)

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