外部から監督強化、現場負荷軽減も
ダイハツ工業は4月8日、国の認証取得時の試験で大規模な不正を続けていた問題を受け、再発防止策と新たな経営方針を公表した。
軽自動車メーカーの原点に立ち返り、「軽自動車を中心に据えたモビリティカンパニー」を目指す方針を表明。
中核の小型車事業に関し、開発や国の認証取得を親会社のトヨタ自動車が主導、ダイハツはトヨタから受託する形で実際の開発を担当する組織体制に移行する方針を打ち出した。
ダイハツの業務負荷を減らし、厳しい開発スケジュール達成のプレッシャーなどから現場が不正に走らないよう配慮するとともに、外部からトヨタが監督を強化する。
まず、東南アジアなど新興国向けの小型車事業の体制を5月1日付で変更。現状はトヨタとダイハツの両社にまたがり橋渡しする形で設けている「新興国小型車カンパニー」が新車の開発などを進めていたが、今後はトヨタ側の「Totota Compact Car Company(トヨタコンパクトカーカンパニー)」が主な業務を担う形とする。
東京都内で同日記者会見したダイハツの井上雅宏社長は「ダイハツが存在していてよかったともう一度言っていただけるよう、会社を変革していきたい」と述べた。
会見する井上社長
体制変更の概要(いずれもオンライン中継画面よりキャプチャー)
ダイハツはまた、今年2月に国土交通省へ提出した再発防止の概要「三つの誓い」に基づき、5階層あった階層を、途中の統括部長・副統括部長を廃止して「社長⇒副社長⇒本部長」の3階層に絞り込み、より迅速かつ緊密に意思疎通できる体制に移行する方針を公表。
並行して、役割とミッションを明確化した若手プロジェクトリーダーを抜擢することなども進める。
また、経営責任を明確にするため、2023年度の役員賞与について、松林淳会長と奥平総一郎社長(2月末で退任)、星加宏昌副社長は全額返上するほか、武田裕介取締役と枝元俊典取締役(3月1日付で「役員」)は50%、役員(執行役員)5人は50~10%を返上することをあらためて表明した。
(藤原秀行)