井本商運とMarindows、次世代ゼロエミ内航コンテナ船プロジェクト始動

井本商運とMarindows、次世代ゼロエミ内航コンテナ船プロジェクト始動

交換式コンテナ蓄電池搭載、神戸~広島航路で3カ年運航へ

海事領域のDXに取り組むMarindows(マリンドウズ)は4月18日、内航海運の未来を変革するための第一歩として、井本商運と日本初の交換式コンテナ蓄電池を用いたコンテナ蓄電池、船内蓄電池、発電機によるハイブリッド運航を可能とする次世代のゼロエミ内航コンテナ船を建造、神戸~広島航路へ投入し、実証実験を行うと発表した。

内航海運が直面している脱炭素や船員不足、運航の安全性向上を解決するのが狙い。

環境省の「令和6年度(2024年度)地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の3カ年事業として採択された。

本船はコンテナ蓄電池に充電した再生可能エネルギー由来電力を活用して推進させることにより、運航時に加えて燃料の採掘・製造から使用までのライフサイクル全体で完全なゼロエミッションを実現できると見込む。

本船イメージ


実証イメージ

また、徹底した標準化・モジュール化、標準化を前提とした陸上からの支援によって、より少ない人数、少ない技量・経験でも安全で効率的に運航できるようにする。

船そのもののコスト削減に加え、陸上からの支援も含めた全体最適化によって、運航コストの大幅低減を実現。建造船価で既存船の30%増程度、運航コストも含めた総運航コストでは既存船と同程度の実現を目指す。

将来の新規技術・システムの導入にも柔軟にアップグレード可能な設計を採用し、技術の陳腐化リスク=船の陳腐化リスクを最小限に抑える。


アップデートを可能とする次世代汎用PHEVプラットフォームのイメージ


既存船と本開発船の機能・価値アップグレードの違い

本船の概要

技術開発代表者/共同実施者:井本商運/Marindows
公的支援:環境省 地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業
プロジェクト期間:2024年4月〜2027年3月
実証航路:神戸港~広島港(海田)
船種:内航 499総トン型コンテナ船 積載個数約200TEU(国内最大)
竣工(予定):令和9年(2027年)1月
建造造船所:三浦造船所(大分県佐伯市)
主要目(概算):全長 81m / 全幅 13.5m / 型深さ 6.6m
速力 12.5kn(時速23.2km)/推進出力 2 x 360kW
航続距離:ハイブリッド(最大):2,700マイル(5,000km)
ゼロエミ(標準):180マイル(333km)コンテナ蓄電池5本利用
ゼロエミ(最大):コンテナ電池の本数と容量次第
主な技術開発要素
①電動化に最適化されたEV船専用船型
②標準化・モジュール化された汎用プラグインハイブリッド(PHEV)パワートレイン
③ゼロエミ航続距離を拡大する交換式20フィート型コンテナ電池システム
④標準化・モジュール化された内航船向け次世代コックピットシステム(操舵室)と離着桟支援システム
⑤標準化を前提とした陸上からの支援システム
⑥EV船だけでなく既存船への給電(停泊中のアイドリングストップ)も実現する、陸上から船舶への給電システム コンテナ電池への充電システム及びスワッピングシステム

(藤原秀行)※いずれもMarindows提供

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