日揮HDなど、利用場所拡大目指す
日揮ホールディングスは4月25日、傘下の日揮とエネコートテクノロジーズ、苫小牧埠頭の3社が、薄型で曲がる「ペロブスカイト太陽電池」の実用化に向けた実証実験を4月1日、本格的に開始したと発表した。
ペロブスカイト太陽電池は薄型で軽量、柔軟に曲がる特性を持ち、従来のシリコン型太陽電池と同様の発電効率を持ちながら、従来のシリコン型太陽電池では設置が難しかった建物の壁面や曲面、耐荷重の小さい屋根といった場所に取り付けられるため、利用場所を広げられる「次世代型太陽電池」として期待が高まっている。
3社は昨年10月に実証実験の開始を決定。施工方法を検討し、物流倉庫へのペロブスカイト太陽電池を設置して実験設備の調整を進めてきた。
物流倉庫の屋根と壁面に取り付けたペロブスカイト太陽電池で発電データを取得している。北海道でペロブスカイト太陽電池の実証実験を行うのは初めて。
今後、低温・積雪・塩害といった環境条件を持つ北海道の港湾エリアで1年間かけて実験を続け、設置方法や設置場所を評価するとともに、3社共同で社会実装に向けた検討を加速させる構え。
苫小牧埠頭の物流倉庫
実証実験設備の取付状況
エネコートが開発したペロブスカイト太陽電池
実証実験について:
実証内容 |
苫小牧埠頭の物流倉庫の屋根と壁面に、エネコート製のG2サイズ(370x470mm)のペロブスカイト太陽電池を日揮のシート工法で設置し、厳環境下かつ実装に近い形での発電データの取得と施工方法を含めた耐久性と信頼性の評価を実施する。 |
設置方法 |
遮熱シートを台座として薄膜太陽電池を折板屋根の凸部に固定する工法と、壁面にアタッチメントを取付けて同様に薄膜太陽電池を固定する工法。今回は屋根と壁面でそれぞれ6枚のモジュールによるアレイを構成。 |
実証期間 |
2024年4月1日 ~ 2025年3月31日(予定) |
各社の役割:日揮 |
・実証計画策定 ・ペロブスカイト太陽電池の設置、計測、分析および技術評価 倉庫等への適用に向けた発電システムの開発 |
各社の役割:エネコート |
・ペロブスカイト太陽電池*の提供、分析および技術評価 *この成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得た |
各社の役割:苫小牧埠頭 |
・設置場所の提供 ・実証装置取り付けに伴う工事業者との調整 ・実証期間中、実証装置の管理 ・実証データを踏まえた物流施設への展開を検討 |
どこでも発電所について
(藤原秀行)※いずれも日揮HD提供