ニコン、産業用ロボットアーム向け制御システム発売へ

ニコン、産業用ロボットアーム向け制御システム発売へ

高速・柔軟な動作でばら積みピッキングなど実現

ニコンは5月7日、産業用ロボットビジョンシステムを2024年秋に発売すると発表した。

人間の目のように状況を捉えられるセンサー(カメラ)と、撮影した対象物を画像処理で認識、判断するエンジン(制御PC)で構成。ロボットアームに動体視力と頭脳の機能を付与し、円滑なばら積みピッキングなどを実現する。

独自の高速センシング技術を活用し、高速性・高い認識力・使い勝手の良さを実現。製造業をはじめ、物流現場など多くの産業で省人化や生産性の向上に貢献できると見込む。

7月4日~6日にAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)で開催される展示会「ロボットテクノロジージャパン2024」でデモ展示する予定。

2D・3Dカメラを組み合わせた独自のアルゴリズムで高速計測を実施し、箱にばら積みされたワーク(対象物)の位置を認識して取り出す「ばら積みピッキング」が可能。他のワークを回避した経路設定ができるため、積まれたワークを傷付けずにピッキングができるほか、目標とした把持位置と実際につかんだ把持位置がずれた場合にも、ワークをつかんだ後に計測し直し、ずれを補正しながら作業を続けられるという。

ロボットアームの先端にカメラを取り付けるハンドビジョンの特性を活用し、視野内に認識できるワークがなくなった際は、のぞき込むようにロボットアームを傾け、別の角度からワークを探索することで、これまで真上からでは認識しにくかった形状のワークも認識できるよう工夫している。

初期計測位置でワークが見つからなかった場合、ロボットが任意の位置へ移動し、撮影位置を変えて計測するリトライ機能も装備。各機能を駆使することで、同社のテスト環境下では取りきり率100%を実現した。

最大250fpsの計測と高速ロボットアーム制御により、コンベア・AGV(無人搬送ロボット)・AMR(自律移動ロボット)などの搬送機器上で流れているワークを認識し、搬送機器を止めることなく滑らかに追従しながらワークのピックやひも付けを行う「ビジョントラッキング」を実現。

ハンドビジョンのため、一つの視野内にロボットハンドとワークを捉え、移動中のワークとロボットハンドの手先に生じる細かなぶれや把持位置の誤差を瞬時に補正できる。生産工程での突発的な搬送機器の停止や姿勢が変わりやすいワークなどにも迅速に対応すると想定している。

従来のロボットビジョンシステムは、システムのスペックに合う搬送機器の準備や、搬送機器とロボットアームの動きを同期させるためのプログラミングと細かな動作調整が必要だったため、稼働開始までのリードタイムが長いという課題を抱えていた。

稼働開始後も搬送機器のわずかながたつきや突発的な動作等に左右され、ロボットアームが正常に作業できないということも起きていた。新製品は見たままでのワーク追従が可能なため、搬送機器との同期作業が不要で、セットアップに要する時間や手間を低減できるとみている。

既存の搬送機器を使いながらロボットビジョンシステムを導入できることから、オフライン作業用の追加設備投資やスペース確保の必要がないのもメリット。各種設定を自動化・簡易化したソフトウェアでティーチングのコストを減らし、長時間を要していた設定作業を大幅短縮できるようにした。

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

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