椿本チエイン開発のアーチ状アクチュエータ、トラックのウイングボディ開閉機構に初採用

椿本チエイン開発のアーチ状アクチュエータ、トラックのウイングボディ開閉機構に初採用

「2024年問題」受けた需要増に対応、装置のコンパクト化や省エネ化に貢献

椿本チエインは5月7日、ジップチェーン(噛合いチェーン)から派生した、アーチ状に伸縮するアークチェーンを用いた「アークチェーンアクチュエータ」(ACA)を開発したと発表した。

直線作動のジップチェーンと同じく、動力をアーチ状の動作へダイレクトに変換し、ドアの開閉や作業台の傾転、ワークの反転などに最適な機構を実現している。

一般発売に先行し、自動車部品メーカーのパブコ(神奈川県海老名市)がトラック荷台のウイングボディ開閉機構に採用した。

「2024年問題」で荷役時間の短縮が強く求められる中、課題解決策の1つとして、トラックの荷台の側面が大きく開き、荷物の積み降ろしがしやすいウイングボディの採用が増加している。

ウイングボディの開閉機構は油圧式が一般的だが、油漏れやメンテナンス工数の多さが課題となっていた。パブコはこうした課題の解決に加え、装置全体のコンパクト化、省エネ化の観点から、駆動ユニットの電動化を検討していた。

その第1弾として、大型ウイングボディ「エクシオウイング」のウイングボディ開閉の電動駆動ユニットとしてACAを取り入れた。パブコによれば、電動チェーンユニットを用いたウイングボディ開閉機構は世界で初めてという。


パブコ・大型ウイングボディ


ウイング開閉部分(上)とACA(下)

ACAの活用により、油漏れの心配がなく、定期的なメンテナンスも不要となり、コスト削減とドライバーの待機時間緩和につながると見込む。油圧式に比べ、クリーンかつ消費電力量削減を期待できる上、油圧式では難しかった多点停止や加減速などの制御を容易に実現できるのもメリット。


ACAを用いた電動システムと油圧システムの比較(パブコ ウエブサイトより引用)

今後、アークチェーンアクチュエータはウイング車への採用拡大が期待されるため、椿本チエインはこの分野での電動化ニーズに対応するとともに、生産設備などの作業台の傾転、扉の開閉、ワークの反転など、工場の生産ラインを含めた用途拡大を図る。


ジップチェーンアクチュエータ


アークチェーンアクチュエータ


油圧式(別途油圧ユニットが必要)


アークチェーンアクチュエータ


電動シリンダ(直動機器)


アークチェーンアクチュエータ

(藤原秀行)※いずれも椿本チエイン提供

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