TOBなどで過半取得想定、事業基盤強化図る
米投資ファンドKKR傘下のロジスティードが、アルプスアルパイン系のアルプス物流を買収する方向で最終調整に入ったことが分かった。
TOB(株式公開買い付け)などを通じ、過半の株式を取得することを想定しているもよう。電子部品に強く、アジアなどの国際物流に注力しているアルプス物流を子会社化し、3PLの事業基盤強化などにつなげたい考えだ。近く正式発表する。
アルプス物流は5月8日、ロジスティードからTOBを通じた買収提案を受けていることを認めた上で「現時点で決定している事実はない」とのコメントを発表した。
アルプスアルパインも同日、「企業価値向上に向けて当該(のアルプス物流)株式を含む保有資産の売却等、資本の効率性改善に向けた様々な可能性を検討しているが、現時点で具体的に決定している事実はない」との談話を開示した。
アルプス物流は1964年、渡駒として発足し貨物取り扱いや包装資材販売をスタート。67年にアルプス電気(現アルプスアルパイン)の出資を受けた。87年に現社名となった。
昨年9月末時点でアルプスアルパインがアルプス物流株式の46.6%を所有しているほか、TDKが7.9%を保有する第2位株主となっている。
ロジスティードはまずTOBで、アルプスアルパイン以外の株主からアルプス物流株式を取得、非公開化した上で、アルプスアルパインから保有分を譲り受けることなどを検討しているとみられる。
アルプス物流は東京証券取引所プライム市場に上場しており、5月8日の株価終値は3815円、時価総額は約1350億円に上る。買収に際し、一定程度のプレミアム(上乗せ価値)を加える公算が大きい。
KKRは2023年、当時の日立物流を買収、ロジスティードに社名変更した。ロジスティードは海外展開の拡大などを図っており、新たにアルプス物流をグループに取り込み、多様な荷物を取り扱えるようにして事業の成長を持続、将来の株式再上場につなげていくことを想定している。
アルプスアルパインは主力のスマートフォンやカメラ向け電子部品が競争激化で採算が悪化していることなどから、中核以外の事業を切り離し、収益の立て直しを図る。
(藤原秀行)