「少数投資主の権利乱用」と猛反発、初の敵対的買収に発展の公算大
Jリートのさくら総合リート投資法人の資産運用を手掛けるさくら不動産投資顧問は5月17日、同じくJリートのスターアジア不動産投資法人のスポンサーを務めるスターアジアグループが、両投資法人の合併に向け臨時投資主総会(企業の株主総会に相当)の開催を提案していることに対し「少数投資主の権利を乱用した敵対的な提案」と強く反発、拒否する方針を表明した。
スターアジアはさくらの投資口を約3・6%保有している。今回、スターアジアはさくらサイドから事前に合併への同意を取り付けていなかったという。さくらが明確に反対する姿勢を示したことで、Jリートで初めて敵対的買収を目指す動きが強まる公算が大きくなった。
スターアジアは今月10日に合併の提案を発表。運用している資産のポートフォリオが多様化し、企業の株式配当に当たる分配金の増額などの価値が生じると利点を説明していた。まず7月上旬にさくらの臨時投資主総会を開催し、さくらの資産運用をスターアジアの資産運用会社が担うよう変更することなどを提案する意向だった。
16日には関東財務局に対し、スターアジア側が自らさくらの臨時投資主総会を招集することを許可するよう申し立てた。
さくらはスターアジアの提案に対し「合併について検討するために必要な資料や情報を一切与えることなく、投資主の皆さまに重大な影響を与える合併を最終的な目的として、一方的に本投資法人の執行役員および資産運用会社の変更を議題とする臨時投資主総会の開催を迫る強圧的な請求であるばかりか、強圧的かつ乱用的な敵対的買収提案であるといわざるを得ない。合併提案の名に値しない」などと猛烈に批判。
「さくらのポートフォリオを公正市場価格以下で取得することが唯一の理由」と指摘し、合併はさくらの投資主価値を大幅に毀損するリスクが非常に高いと断言。「あらゆる手段を駆使してスターアジアグループに対抗する」と宣言した。
スターアジア不動産投資法人はオフィスビルや住宅、ホテルのほか、現時点で首都圏の物流施設8件をポートフォリオに組み入れている。ガリレオ・グループと日本管財グループをスポンサーとして2016年に発足したさくら総合リート投資法人はオフィスビルと商業施設、住宅がメーンで、物流施設には現在投資していないが工場2件がポートフォリオに入っている。
(藤原秀行)