税関と企業双方の負荷低減図る
貿易情報一元化システム「TradeWaltz(トレードワルツ)」を手掛けるトレードワルツは5月14日、兼松が同システムを活用、4月から輸入における許可情報と通関関係書類を電子保管に全面切り替えし、新規の紙保管廃止に踏み切ったと発表した。
輸入者は貿易取引に関する書類を、輸入許可日の翌日から最長7年間保管することが義務付けられている。保管が必要な書類は多数あり、帳簿や、輸入許可書・運送状・インボイスなどの通関関連書類、添付されたデータ書類といったものが含まれる。
運送状やインボイスなどは現在も紙でやりとりされることが多く、紙の保管・輸入事後調査対応が一般的に行われている。
税関による税務調査の輸入事後調査は、定期的に税関職員が輸入者の事業所を訪問し、上記の帳簿や書類を確認する。対応する企業は指定された輸入期間の書類一式を揃える必要があり、税関は輸入件数によっては膨大な量になる紙書類を調査するため、企業・税関の双方に負担がのしかかっている。
TradeWaltzの「関税関係帳簿の保管」および「取引情報紐づけ」機能は、許可書情報を構造化データで一元管理することで電子的な関税関係帳簿に移行、各許可情報が対象の取引情報とひも付けることにより、取引後に税関が行う事後調査にも活用できるのが特徴。
具体的には、TradeWaltz内での電子書類保管時にタグ付けしたインボイス番号などの共通キーワードを基、輸入許可データと書類を自動で関連付ける。
また、TradeWaltzを利用した電子保管により、日々の紙の印刷、ファイリング、書類の倉庫への発送が不要となるため、保管スペースや倉庫の保管料削減につなげられると見込む。さらに、許可情報にひも付く書類情報を可視化、一元管理を実現するため、関税関係帳簿と書類情報の確認が容易となり、保管漏れを防げるのに加えて申告内容の確認を含んだ、コンプライアンスレベル向上に寄与すると想定している。
他にも、事後調査時に、倉庫に保管した紙書類の搬入出作業が不要、リモートでの情報の検索が可能となるため、事後調査時の輸入者、税関職員、双方の業務負荷削減にも貢献するとみている。
兼松は今まで輸入書類の保管や、ほぼ毎年実施される事後調査時の紙の書類準備に多くの時間と労力を要していた。負荷低減のため、実務目線で保管機能に対するフィードバックや、TradeWaltzを事後調査に利用することの監督税関への説明、社内の運用整理などの準備を半年以上かけて進め、4月からTradeWaltzを利用した電子保管への全面切り替えにこぎ着けた。
(藤原秀行)※いずれもトレードワルツ提供