信号無視や一時不停止など想定
自転車に乗っている16歳以上の人の交通違反に反則金制度(交通反則通告制度)を導入する改正道路交通法が5月17日の参議院本会議で可決、成立した。
自動車やバイクと同様、自転車に対しても軽い違反の場合は警察が違反者に「交通反則切符(青切符)」を渡し、違反者は期限内に反則金を払えば刑事処分を免れることができるようにし、違反行為の抑制を図る。
青切符の対象となる行為は信号無視や指定場所での一時不停止、右側走行など115種類程度となる見通し。
改正道交法は併せて、車道を走る自転車を保護するため、横を通過する自動車などは一定以上の間隔を空けるよう義務化。自転車の酒気帯び運転や運転中の携帯電話使用に関し、罰則を新たに設ける。
酒気帯びは3年以下の懲役または50万円以下の罰金、ながら運転で危険を生じさせた場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金がそれぞれ科される可能性がある。
反則金制度は1967年から自動車やバイクを対象に展開している。飲酒運転などの悪質で重大な違反を除いて青切符を交付している。
自転車に関しては、悪質な違反の場合は刑事処分を科す対象となる「交通切符(赤切符)」を交付、取り締まっているが、反則金は対象外だった。赤切符に該当する事案でも捜査に負担が掛かることなどから、実際に起訴まで至るケースは少なく、違反の抑止力に疑問符が付いていた。
青切符の運用も始めることで、抑止力を高めることを目指す。
警察庁によれば、自転車が当事者となった死亡・重傷事故の4分3程度で自転車側の法令違反があったという。政府は2025年までに交通事故から24時間以内の死者数を2000人以下に抑える目標を掲げており、達成に向け規制を強化する。
(藤原秀行)