商船三井、硬翼帆式風力推進装置を電源開発向け石炭輸送船に搭載

商船三井、硬翼帆式風力推進装置を電源開発向け石炭輸送船に搭載

世界初、既存船に改造工事し搭載

商船三井と電源開発(J-POWER)は5月24日、電源開発の発電用石炭輸送に従事している「KUROTAKISAN MARU Ⅲ(黒滝山丸Ⅲ)」に対して、風力を推進力として活用するウインドチャレンジャー(硬翼帆式推進装置)を搭載することで合意したと発表した。実際の搭載は2025年後半を予定している。

両社によると、既存船を改造してウインドチャレンジャーを搭載するのは世界で初めて。ウインドチャレンジャーは商船三井と大島造船所が中心となり開発した、伸縮可能な帆(硬翼帆)によって風力エネルギーを船の推進力に変換する装置。

ウインドチャレンジャー導入による本船の燃料節減と温室効果ガス削減の効果は、従来の同型船と比較し、日本~豪州航路で約5%、日本~北米西岸航路で約8%を見込んでおり、燃料輸送時の温室効果ガス排出抑制に資すると想定している。

石炭輸送船で商船三井のウインドチャレンジャーを搭載しているのは、新造船で東北電力向けの「松風丸」に次いで2隻目。


ウインドチャレンジャーを搭載した「黒滝山丸Ⅲ」(イメージ)

商船三井は2050年までのネットゼロ・エミッション達成に向け、ウインドチャレンジャー搭載船を2030年までに25隻、35年までに80隻投入することを計画している。

<本船概要>
船名:KUROTAKISAN MARU Ⅲ(黒滝山丸Ⅲ)
運航会社:商船三井
全長:234.96 m
全幅:38.00 m
載貨重量トン数:89,999トン
竣工日:2021年12月2日
造船所:株式会社大島造船所
船籍:パナマ共和国

(藤原秀行)

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