試験の虚偽データ提出など
国土交通省は6月3日、自動車などの量産に不可欠な、国が定める安全の基準を満たしていることを示す認証「型式指定」について、トヨタ自動車とホンダ、マツダ、ヤマハ発動機、スズキの5社で不正行為が判明したと発表した。
国交省がダイハツ工業や豊田自動織機で型式指定取得時の不正行為が相次ぎ発覚したのを踏まえ、自動車や装置のメーカー85社に対し、不正行為が他にもないか調査、確認するよう指示していた。
その結果、68社は調査が完了し、64社で不正行為はなかったと回答した一方、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキの4社で不正行為が判明した。
調査継続中は17社で、このうち16社は現時点で不正行為は確認していないと回答している一方、トヨタは不正行為が明らかになった。
国交省の集計では、現行の生産者はトヨタが3車種、マツダが2車種、ヤマハ発動機が1車種で、過去の生産者はホンダが22車種、トヨタが4車種、マツダが3車種、ヤマハ発動機が2車種、スズキが1車種でそれぞれ不正行為を確認した。
具体的には、トヨタは歩行者保護試験で虚偽データを国に提出するなどしていた。ホンダも騒音試験の成績書に虚偽記載があったという。マツダはエンジンの出力試験の際に制御ソフトを書き替えるなどしていた。ヤマハ発動機は不適正な条件で騒音試験を実施するなどしていた。スズキは制動装置試験で成績書に虚偽の記載をしていた。
国交省は「ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、新たな不正行為が明らかになったことは極めて遺憾」と5社を批判。道路運送車両法に基づき、5社に順次、立ち入り検査を実施、不正行為の事実関係確認などを進める。
(藤原秀行)