【現地取材】小池都知事、「置き配」など活用した再配達削減支援にあらためて意欲表明

【現地取材】小池都知事、「置き配」など活用した再配達削減支援にあらためて意欲表明

普及啓発イベント開催、民間の取り組み後押し必要と強調

東京都は6月11日、「2024年問題」やトラックドライバー不足などの諸課題を踏まえた物流現場の負荷低減を促進する運動「東京物流ビズ」の一環として、都内で宅配の再確認削減への協力を呼び掛ける普及啓発イベントを開催した。

小池百合子都知事が荷主企業や宅配大手の配達スタッフとともにトークセッションを展開。「便利さを求めていくと、どこかにしわ寄せが行っているかもしれない。皆さんのご協力を得て課題を解決していきたい」と指摘し、宅配ロッカーや「置き配」などを使って従来以上に再配達削減へ積極的に取り組むよう呼び掛けた。

イベントには宅配大手3社や宅配ロッカーメーカーなどが参加。自分の好きなタイミングで荷物を受け取ることができる宅配ロッカーを紹介したほか、日本郵便はZMPの宅配ロボットを展示、両社で展開している自動配達の実証実験の様子などを案内した。併せて、置き配で荷物を受け取る際に使うことが可能な専用バッグも無料で希望者に配布した。

トークセッションでは小池知事が、20世紀が始まった1901年1月2日付の報知新聞の記事を引用。20世紀のさまざまな動きを予言している中で、遠距離にある品物の買い物ができるとECの普及を想定しているかのような記述がある一方、「地中鉄菅によって瞬時に届く」というところはまだまだ達成できておらず、再配達も発生していると語った。

その上で「再配達はドライバーの労力を増やし、無駄なCO2の排出にもつながっていくというダブルのマイナスになっている。みんなで再配達に対して何ができるか考えていきたい」と呼び翔けた。


イベント会場


ZMPの宅配ロボットを視察する小池知事


宅配ロッカー「PUDO」を操作する小池知事

「置き配バッグ」あれば1回で配達完了とアピール

配達員をしているヤマト運輸の石川康平氏は「担当しているエリアは住宅地で共働き世帯が多く、再配達につながりやすい。戸建て住宅に宅配ボックスの設置がなかったり、マンションは設置されていても商品でいっぱいになって新たに投函できなかったり、商品の大きさによっては入らなかったりする」と配達現場の実情を紹介。「置き配サービスを利用いただいて再配達を削減し、わたしたちの働き方改善やCO2削減などいろいろと良い相乗効果が生まれることを期待している」と語った。

日本郵便の平山元樹氏は「多摩エリアが担当なので、すごい山道を行くことが多く、夜は暗い道を行かざるを得ない。エレベーターのない古い団地もいっぱいあり、お米やミネラルウォーターのような重い荷物の配達に、置き配バッグがあれば1回で終えることができる。より効率的な配達につながるのではないか」と語り、置き配促進へ荷物を安全に受け取ることが可能な専用バッグをさらに普及させる必要があると提案した。

佐川急便の行村操氏は「宅配各社は配達の予定を通知するサービスを提供させていただいている。いつお荷物が届くかを事前に知ることができるため、万が一当日に受け取れない場合でも指定で変更が可能。ご協力をお願いしたい」と語った。さらに「宅配ロッカーを利用するのには(容量的に)限りがあるが、当日中にできれば荷物を引き取っていただきたい。置き配バッグもぜひお試しいただきたい。盗難防止の機能も付いている」と訴えた。

荷主の代表として三越伊勢丹ホールディングスの小林弘樹氏が登壇。「お中元はこれからピークを迎える。そうしたピークを少しでも分散させられるようご案内もしている。具体的には、7月1日以降に届けてほしいとのご要望が多いが、それ以前でも準備ができ次第お届けすることを選択のメニューに入れている」と配達量の平準化による宅配現場の負荷軽減を図っていることに言及した。

小池知事は「配達員の皆様によって私たちの生活が成り立っていると痛感した。できるだけ、簡単にできる対策を進め、皆さんに活用いただくというのが(再配達対策の)ポイントだと思う。東京都は(民間の対策を)後押しすることが必要になったとあらためて思った。皆さんのご協力を得て解決していきたい」と東京物流ビズの活動意義をアピールして締めくくった。


(左から)三越伊勢丹ホールディングス・小林氏、小池知事、佐川・行村氏、日本郵便・平山氏、ヤマト運輸・石川氏


3社のマスコットも参加して記念撮影

(藤原秀行)

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