メディカル事業の成長基盤確立図る
鴻池運輸は6月21日、インドで医療器材の滅菌事業を手掛けるSPD India Healthcare(SPDインディア・ヘルスケア、SPD)の株式82%を6月20日付で取得、買収したと発表した。株式の取得額は開示していない。
SPDは手術器具などの医療器材の滅菌サービスを中心に、医療器材の販売・貸し出し、滅菌教育プログラムの提供、医療機関向け滅菌コンサルティングなど多岐に渡る事業を展開している。成長が続くインドで今後も同事業のニーズが見込めると判断、傘下に収めることにした。
鴻池運輸はグループで、日本国内の医療機関向けに手術器具や医療器材の洗浄滅菌、院内物流・手術室支援業務などを提供するとともに、医療関連メーカー・卸業者向けに物流センターの設計・運営や検体・再生医療品の輸送、医療機器の輸入から製品検査・輸配送、再利用される医療機器のメンテナンスなど、医療に関連する一貫物流を提供している。
また、インドではメディアスホールディングスとの合弁で医療関連サービスを担うCarna Medical Database(カルナ・メディカル・データベース)が、インド医療業界の管理体制や流通インフラの課題解決に向けた医療材料や病院、医師のデータベース化、日系企業のインドでの医療市場進出サポートなどを行っている。
インドは人口や経済規模の拡大に加えて政府の医療拡充政策による人口当たりの病院数の引き上げが進められており、経済拡大を上回る勢いで医療市場が拡大している。富裕層や中間層の増大に伴い、医療の質への関心が高まっています。
鴻池運輸は現行の中期経営計画でメディカル事業とインド事業を注力領域の1つに位置付けている。SPDを買収し、病院業務の外部委託の黎明期にあるインド市場で成長基盤を確立したい考え。
(藤原秀行)