安全で効果的な防汚剤の開発目指す
岡山大学は6月21日、学術研究院環境生命自然科学学域(理)の髙村浩由准教授、門田功教授、大学院自然科学研究科の杉谷侑紀大学院生(研究当時)、森下諒平大学院生(研究当時)、兵庫県立大学自然・環境科学研究所の頼末武史准教授(兼兵庫県立人と自然の博物館主任研究員)らの研究グループが、天然有機化合物「スカブロライドF」の化学合成に成功し、タテジマフジツボの付着を阻害する効果を持つことを確認したと発表した。
今回の本研究成果は5月23日に英国王立化学会誌「Organic & Biomolecular Chemistry」のオンライン版に掲載された。
スカブロライドFは、細かい骨片を持つ軟質サンゴ(ソフトコーラル)から単離(分離)した微量成分の天然有機化合物。合成したスカブロライドFおよびその関連化合物を用いてタテジマフジツボに対する生物活性を評価したところ、付着を阻害する上、毒性を示さないことが判明した。
研究グループは今回の研究成果を基盤として、船底にタテジマフジツボが付かないようにする効果的で安全かつ環境に優しい新たな付着防汚剤の開発につなげられると期待している。
生物活性評価
タテジマフジツボのキプリス幼生に対する付着阻害活性(EC50)
◆論文情報
論 文 名:Total Synthesis and Structure–Antifouling Activity Relationship of Scabrolide F
邦題名「スカブロライドFの全合成および構造–付着阻害活性相関」
掲 載 紙:Organic & Biomolecular Chemistry
著 者:Hiroyoshi Takamura, Yuki Sugitani, Ryohei Morishita, Takefumi Yorisue, Isao Kadota
D O I:10.1039/d4ob00698d
U R L:https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2024/ob/d4ob00698d
(藤原秀行)