アラームボックス調査、「53社に1社」の危険性ありと指摘
AI与信管理サービスを提供するアラームボックスは6月26日、2023年6月1日~24年5月31日の1年間に収集した1万4058社・22万3571件のインターネット掲載情報などから、1年以内に倒産する危険性がある“要警戒企業”を分析・抽出し、「倒産危険度の高い上位10業種」を予測したと発表した。
倒産可能性の高い業種ランキング
今回の調査では、倒産リスクの高い情報が発生している要警戒企業の総数自体が増えており、倒産危険度が全体的に高まっている様子が分かったという。
倒産可能性の高い業種の上位には、円安による輸入資材・原材料の高騰や、「2024年問題」による人手不足の影響を受けて採算性が悪化しやすい業種が多くなる傾向が見られた。道路貨物運送業は2位に入っており、53社に1社が倒産する危険性があると展望している。工事業と同じく「2024年問題」の影響を受けているほか、燃料費高騰による運行コスト増大が原因の倒産関連情報が多くなっていたという。
新型コロナウイルス禍での助成金の不正受給や経営者の逮捕といった不祥事で話題になった企業が、のちに倒産に至っているケースが散見された。コンプライアンス違反による信用低下が与える影響が大きくなっており、同社は「企業は信用低下による倒産を防ぐためにも、コンプライアンス体制の強化や法的・倫理的なリスク管理の徹底を図り、健全な事業運営を維持するための取り組みを強化する必要がある」と強調している。
◆調査結果詳細(運送関連)
2位 道路貨物運送業:53社に1社が倒産する危険性あり
主な事業:宅配便、トラック運送など
コロナ禍で需要が減少した引っ越し会社や食品の運送会社で資金繰りが限界となり、倒産や支払い遅延の情報が発生。他にも、資金繰りが悪化する原因として、労働基準法の法令違反による行政処分を受け貨物車両の使用停止となったことで一時的に受注量が制限された企業が見られた。
4月から働き方改革関連法で、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されたことにより、ドライバーら人手不足による受注減や外注費の増加が起きているほか、燃料費の高騰といった外的な要因も加わり、倒産リスクが昨年以上に大きく高まっているという。
10位 道路旅客運送業:77社に1社が倒産する可能性あり
主な事業:タクシー会社、バス会社など
タクシーやバスといった自動車によって、旅客を運送する企業が赤字によって債務超過に陥っていた。2位の道路貨物運送業と同じく、働き方改革関連法の施行に伴う運転手の不足や燃料費高騰による運行コストの増加が課題となっている。コロナ禍による巣ごもりによって需要が減少していた時期に悪化した経営状況を今後どのように改善していくかが注目される。
本業種は、地域の交通インフラを支える地場の中小企業も多いことから地方自治体と民間企業が協力して対応していくことが求められているとみている。
◆調査概要
調査期間:2023年6月1日〜2024年5月31日
対象企業:アラームボックスでモニタリングしていた企業のうち、1万4058社
対象データ:アラームボックスで配信されたアラーム情報22万3571件
(藤原秀行)※いずれもアラームボックス提供