オリックス、メタノール燃料船含む次世代環境対応船3隻を新たに発注

オリックス、メタノール燃料船含む次世代環境対応船3隻を新たに発注

グループの三徳船舶通じ、国際的な環境規制強化に対応

オリックスは7月8日、傘下の三徳船舶(大阪市)を通じて、常石造船の最新型環境対応船の一種、メタノール燃料ばら積み貨物船「KAMSARMAX」2隻と、大島造船所のばら積み貨物船1隻を新たに発注したと発表した。

「KAMSARMAX」は中国の常石集団(舟山)造船有限公司(浙江省舟山市)が、大島造船所のばら積み貨物船は香焼工場(長崎市)がそれぞれ建造する。オリックスグループがメタノール燃料船を発注するのは初めて。


「KAMSARMAX」のイメージ(常石造船提供、プレスリリースより引用)

「KAMSARMAX」はメタノールに加え重油も使用できる2元燃料船。メタノールの使用および船型開発などにより、常石造船の従来船と比較してCO2排出量が約15%少なく、大気汚染物質の硫黄酸化物の排出も約95%抑えられる。

現在、メタノールの製造は天然ガスなどの化石燃料を用いるのが一般的だが、将来はCO2と再生可能エネルギー由来の水素から作った「グリーンメタノール」を採用し、運航時のCO2排出量は実質ゼロとみなせるようにする。

2023年に国際海事機関(IMO)は国際海運からの温室効果ガス排出削減目標を「2050年頃までにゼロ」へ強化。達成に向け、30年までに国際海運におけるゼロエミッション燃料などの使用割合を5~10%とする目標を新たに盛り込むなど、環境対応船への需要が高まっているのに対応する。

今回発注した3隻は全て25年以降の契約船に対しての国際的な規制「EEDIフェーズ3」(基準値比30%削減)を前倒しでクリアしており、環境負荷の低減が期待できると想定している。

オリックスは今年2月に事業承継を目的として三徳船舶の発行済み株式をすべて取得、完全子会社化した。事業承継後初めての船舶発注として、最新の環境対応船を導入することにした。

(藤原秀行)

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