運用方針見直し、弁護士ら第三者の監視求める
公正取引委員会の藤本哲也事務総長は7月3日の記者会見で、独占禁止法違反の疑いがある企業に対する行政処分「確約手続き」に関し、より確実に再発防止を図るため、事後チェック体制を強化する方針を明らかにした。
確約手続きは独禁法で定めている行政処分の1つで、2018年に導入した。企業が比較的軽微な独禁法違反の疑いがある行為をしていた場合、会社が自発的に改善計画を策定、順守を確約し、公取委が計画を認定すれば、独禁法で罰しない仕組み。今年6月までに19件の事案があった。
従来、改善計画を着実に履行しているかどうかは、企業が公取委に報告していたが、今後は運用方針を見直し、弁護士や公認会計士ら独立した第三者が実施状況を監視するよう企業側に求める。
企業側の報告に委ねているため、実情をどの程度まで公取委が把握できているのか、法曹関係者らから懸念する声が出ていた。
併せて、公取委に計画の実施状況を報告する期間もこれまでの3年間から「原則5年間以上」に変更、計画の実効性を高めるよう努める。
藤本事務総長は会見で「(確約手続きの履行)内容が不十分だったという事実はないが、同様の行為の再発防止を、これまで以上により確実にするため、これまでの事案よりも長い期間の履行期間の設定が適切であると判断した」と解説。
欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会が同様の措置を講じていることなどを紹介し、「自社のみで行うよりも、独立性のある外部専門家の客観的な監視を経て実施される方が、より確実な履行が確保される」との見解を示した。
(藤原秀行)