デポに荷物集約し配送効率化、渋滞解消と脱炭素貢献目指す
JR東日本とえきまちエナジークリエイト、ジェイアール東日本物流は7月30日、東京都港区の高輪エリアで建設中の大規模な再開発プロジェクト「TAKANAWA GATEWAY CITY」(高輪ゲートウェイシティ)で、整備する超高層ビルの入居テナントなど向けに新たな物流の手法「集約型館内キャリーシステム」を導入すると発表した。
周辺エリアに外部デポ(小型倉庫)を設け、域外からビルのテナントなどへの荷物をいったん集約、仕分けた上で水素燃料電池(FC)トラックに積み込み、エリア内の荷さばき場所に届ける。そこから先の配送は館内物流を担う事業者に委ねる。外部デポやFCトラックの運営はジェイアール東日本物流が担当する。
個々の運送業者がばらばらにオフィスビルなどへ納品するよりもトラックの台数を減らし、周辺の渋滞解消や温室効果ガス排出削減、テナントへの荷物配達の迅速化につなげていきたい考え。
FCトラック運用のイメージと「集約型館内キャリーシステム」の概要(JR東日本提供)
外部デポは今年6月、東京都大田区の平和島エリアにある東京流通センター内に開設した。併せて、TAKANAWA GATEWAY CITYの近隣エリアに、ENEOSと組んで水素供給ステーションを設置した。
FCトラックはジェイアール東日本物流がまず2台をリースしており、今後の状況に応じて台数を増やすことを検討する見通し。この日は、プロジェクト開発エリアで、配送に投入するFCトラックを公開。水素供給ステーションで実際に水素を充填した。
TAKANAWA GATEWAY CITYの建設が進む
ENEOSの水素供給ステーション
トラックに水素を供給する準備を進める
同日、水素供給ステーション内で記者会見したジェイアール東日本物流の野口忍社長は「荷物の集約などで1日当たりトラックを1000台程度減らせるとみている」と語った。
会見する野口氏
TAKANAWA GATEWAY CITYはJR高輪ゲートウェイ駅周辺で、JR東が約6000億円を投じて進めており、超高層ビル4棟と、公園と一体となった低層の「文化創造棟」で構成。オフィスや商業施設、高級ホテルなどが入る予定で、2025年3月以降、順次開設する。
「100年先の心豊かなくらしのための実験場」とのコンセプトを掲げ、先端技術を駆使して持続可能な都市を構築することを目指している。風力や太陽光を活用した再生可能エネルギーの積極的活用、オフィスなどから出る排熱の再利用、ロボットの導入、水素エネルギーの実用化などを計画している。
その一環として、館内物流の配送にFCトラックを採用、脱炭素への貢献を目指す。
TAKANAWA GATEWAY CITYの完成イメージ(JR東日本提供)
(藤原秀行)