「物流費」要因の飲食料品値上げ、1~11月で6割超

「物流費」要因の飲食料品値上げ、1~11月で6割超

帝国データ調査、前年同期から10ポイント上昇


月別値上げ品目数 推移(28カ月推移・7月31日時点)

帝国データバンクは7月31日、今年8月以降の食品の値上げ動向と展望・見通しを公表した。

 
 

主要な食品メーカー195社を調査した結果、8月に値上げを予定している飲食料品は家庭用を中心として642品目に達した。

帝国データは値上げが一服傾向を迎えた前年同月(1197品目)に比べて555品目・46.4%減と、8カ月連続で前年同月を下回ったほか、4カ月連続で1000品目以下の水準にとどまり、値上げ沈静化の傾向が続いていると指摘。値上げ1回当たりの平均値上げ率は8月単月で12%と、2024年中では最も低い水準にとどまっている。

24年通年の値上げ品目数(予定含む)は11月までの累計で1万1617品目に上り、年間の平均値上げ率は17%となった。

24年の値上げ要因では、「物流費」の上昇による影響が広がりを見せているという。1~11月に予定される値上げ品目のうち、「物流費」要因の値上げが品目数ベースで68.2%となり、前年の同時期(57.5%)から約10ポイントもアップした。

急速に進んだ円安ドル高による輸入コスト増を背景に、「円安」要因の値上げは30.2%に到達。要因として最も大きい「原材料高」は92.4%を占め、特に春以降の値上げで原材料高の影響が広がった。

猛暑や干ばつなど天候不順による不作の影響を受けた値上げが多く、中でも「チョコレート」を使用する幅広い食品で大幅に価格を引き上げる動きが相次いだ。

 
 

8月の値上げは「加工食品」が全食品分野で最も多い319品目に上った。輸入小麦で輸送費の上昇などを背景に、大手各社で乾麺やソースなど「パスタ製品」で一斉値上げが目立ったほか、家庭用ミックス粉など「原材料」(52品目)も値上げに踏み切る。

「菓子」(128品目)は、引き続き原料となるカカオ豆の価格高騰を背景に、「チョコレート製品」の値上げが中心を占めている。チョコやレーズンの価格上昇で一部菓子パン製品でも値上げが見られた。

9月以降は冷凍食品やハム・ソーセージ製品の値上げが予定されているほか、清涼飲料水を中心とした缶・PET飲料、ビール類を除く酒類、アイスクリーム・氷菓製品、パックごはんなど、幅広い品目で値上げが想定されている。

帝国データは、近時は本体価格の「引き上げ」から内容量の減量などによる「据え置き・維持」へのシフトが食料品でも目立ちはじめており、値上げの勢いは後退感も見られると分析している。

先行きでは、10月の食品値上げ予定品目数が今年4月以来となる2000品目台で推移している。資材価格の高騰が続くビール類やRTD飲料、日本酒など酒類製品で値上げが実施される場合、23年10月並みとなる4000品目前後に到達する可能性がある。

24年通年では、10月に値上げラッシュを迎えた後は11・12月ともに総じて落ち着いた推移が想定され、1万5000品目前後での着地が予想される。

 
 

(藤原秀行)※いずれも帝国データバンク提供

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