新たに7件不正判明、1カ月以内の再発防止策報告求める
国土交通省は7月31日、自動車の量産に不可欠な安全性に関する国の認証「型式指定」を取得する際の試験内容に不正があったとして、トヨタ自動車に対し、道路運送車両法に基づき、組織体制の改善を求める是正命令を出した。
是正命令はトヨタに対し、会社全体の業務運営体制の再構築、開発・認証全体の業務管理手法の改善などを講ずるよう要求している。
国交省の鶴田浩久物流・自動車局長は同日、国交省にトヨタの佐藤治社長を呼び、直接命令書を手渡し、1カ月以内に再発防止策を報告するよう求めた。
これまでに日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機が型式指定の認証をめぐってエンジンなどの試験で不正を行っていたことが相次ぎ発覚、是正命令を受けてきた。トヨタに是正命令が出たのは初めて。
トヨタに関しては6月、国交省が「ヤリスクロス」など生産中の3車種と過去に製造していた4車種の計7車種で試験の実施内容に、国のルールに沿っていない部分があったと公表していた。このうち生産中の3車種は、国交省が検証した結果、安全性能などに問題がないと判断、7月31日付で出荷停止指示を解除した。
一方、国交省の調査で新たに「ハリアー」「レクサスLM」など現行生産の4車種と、過去に生産していた3車種の計7車種で、検査時の不正が見つかったという。
国交省によれば、衝突の際、自動車に乗っている人を保護できるかどうかを確認する試験で、量産とは異なる仕様の部品を用いていたことなどが分かったという。
トヨタは同日、認証申請に必要な書類を作成する際の社内の運用ルールが不明確なことや、経営/幹部の認証業務全体における理解と関与が不十分なことなどが原因と説明。
「正しい認証業務を実施するための仕組み・体制に見直すとともに、認証プロセスの責任と権限をあらためて明確化し、正確なデータ管理など基盤の整備を進める」と謝罪した。
(藤原秀行)