「2024年問題」対策など物流関係政策に大きな変化ない見通し
岸田文雄首相は8月14日、首相官邸で記者会見し、9月に実施予定の自民党総裁選挙に出馬しない意向を表明した。
岸田首相は「総裁選では新生自民党を国民の前にしっかりと示すことが必要。そのためには透明で開かれた選挙、そして何より自由闊達な論戦が重要だ。その際、自民党が変わることを示す、最も分かりやすい最初の一歩は、私が身を引くことだ。来る総裁選には出馬しない。総裁選を通じて選ばれた新たなリーダーを一兵卒として支えていくことに徹する」と述べた。
昨年11月、党内の派閥による政治資金パーティーで集めた収入の一部を裏金として使っていた問題が発覚するなど、支持率が低迷しており、総裁選再選は厳しいと判断した。
会見で「所属議員が起こした重大な事態について、組織の長として責任を取ることに、いささかのちゅうちょもない。今回の事案が発生した当初から思い定め、心に期してきたところであり、当面の外交日程に一区切りが付いたこの時点で、私が身を引くことでけじめをつけ、総裁選に向かっていきたいと考えている」と説明した。
岸田首相は2021年9月の党総裁選で勝利し、同年10月に菅義偉氏の後を継いで就任した。党総裁任期は9月末で切れるため、岸田氏は新総裁が決まった後に総裁を退任、首相も辞任する。総裁選の当選者が次期首相に就く。
後任の総裁候補には石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安全保障担当相、河野太郎デジタル相、茂木敏充幹事長らの名前が取りざたされている。
岸田首相は内閣の重要政策として、デジタル技術を活用して地方の活性化や行政サービスの高度化などを推し進める「デジタル田園都市国家構想」を推進。その一環として、トラックの自動走行実現やドローン物流の促進などを打ち出している。
また、「2024年問題」対策のための関係閣僚会議を開催し、物流施設での荷待ち・荷役時間短縮のための施策などをパッケージとして打ち出している。
トラックドライバーをはじめ物流業界の人手不足は深刻度を増しており、岸田氏が首相を退いても、現状ではデジタル技術を生かした業務効率化支援などを支える基本的な政府の姿勢に大きな変化はないとみられる。
(藤原秀行)