一五不動産4月調査、募集賃料は3年半ぶり3500円超える
一五不動産情報サービスは5月31日、2019年4月時点の賃貸物流施設市場動向に関するリポートを取りまとめた。
関西圏の空室率は5・2%で、前回調査(2019年1月)の7・1%から1・9ポイント低下した。6四半期連続で下がった。坪当たりの募集賃料は70円(2・0%)上昇し3530円で、15年10月以来3年半ぶりに3500円を超えた。市況改善が進んでいることがうかがえた。
1~3月に1棟が新たに完成。既存施設はラサール不動産投資顧問の「ロジポート尼崎」の契約率が8割を超えるなど、「臨海部の稼働率が上向いていることが需給改善につながった」(一五不動産)ようだ。完成前案件でもグッドマンジャパンの「グッドマン赤松台2」(神戸市)がテナントとして東部ネットワークの契約獲得を決めている。
今後は日鉄興和不動産の「LOGIFRONT尼崎Ⅰ」や泉北高速鉄道の「北大阪トラックターミナル新1号棟」の工事開始が予定されている。一五不動産は19年の関西圏における新規供給は現時点で約35万平方メートルと見積もっており、「昨年の半分以下にとどまるため、当面は需給改善が続く」と展望している。
募集賃料は「16年下半期からの大量供給で、臨海部を中心に需給バランスが悪化し募集賃料も下落した。その後は需給改善が顕著で18年下半期から募集賃料も徐々に上向いている」と説明している。
首都圏は需給バランス緩み空室率が小幅上昇
一方、首都圏の空室率は4・0%で、前期の3・3%から0・7ポイントの小幅上昇となった。上がったのは2四半期ぶり。2~4月の間、新規供給は61万平方メートルとハイペースだったが、新規需要が47万平方メートルにとどまり、需給バランスがやや緩和した。期間中に完成した12棟中、7棟が満室で稼働した。
今後の動向に関しては「米中摩擦の影響で景況感に陰りがみえ、物流分野では国際航空貨物の動きが鈍くなっている。従って、戦後最長の好景気による物流ニーズの拡大は、これからはあまり期待できないだろう」と指摘。
同時に「昨今の堅調な物流ニーズはeコマースの浸透、少子高齢化による人手不足、物流自動化への対応など構造的な要因の影響が大きく、旧来型の倉庫ではニーズの受け皿にはならない。従って、大都市圏の高機能型物流施設に限ればこれからも底堅いニーズが続く」との見解を示している。
募集賃料は4160円で、前期から20円(0・5%)下落した。一五不動産は「賃料単価が低い募集物件が賃貸市場に残っているため」と推測している。
(藤原秀行)