需要増に対応
SBIホールディングスとAI開発を手掛けるスタートアップのPreferred Networks(プリファード・ネットワークス)は8月27日、次世代AI半導体の開発・製品化に向け、資本・業務提携すると発表した。
SBIがプリファードに最大100億円規模を出資する。
プリファードはAI半導体の設計・周辺ソフトウェア開発・自社AI半導体を用いたスーパーコンピューターの開発から、生成AI基盤モデルの構築、各要素を応用したアプリケーションの開発までを自社で展開。自社AI半導体を用いた計算基盤を2023年から外部ユーザーにも提供している。
設立以来、様々な産業の顧客に対して、最先端のAI技術の実装を推し進め、大規模プラントの自動運転や、材料開発向けの原子レベルシミュレーションをSaaSで国内外に提供するなどの実績を有している。
近年はAIアルゴリズムなどのソフトウェア開発に加え、自社設計のAI半導体「MN-Core」シリーズの開発も進めており、スーパーコンピューターの電力効率ランキング「Green500」では、MN-Core(第1世代)を搭載したスーパーコンピューターが2020年および2021年に世界トップを3度獲得している。
昨今、生成AI技術の進展から世界的にAI半導体の需要が急速に高まり、供給が逼迫している。今後もAI開発・利用による電力消費は継続的に増大すると見込まれ、高性能かつ低消費電力のAI半導体の開発が不可欠となっている。
国内では、日本政府が5G促進法に基づきAI半導体への支援を進めており、2023年に「半導体・デジタル産業戦略」を策定、国家の重要戦略として中長期的な国内のデジタルインフラ整備の方針を鮮明にしている。次世代AI半導体は、経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資」に位置付けられている「クラウドプログラム」整備の中でも中心的な役割を果たしており、重要性は広く共通認識になりつつある。
両社は提携でプリファードが開発する次世代AI半導体の社会実装を強力に推進していく考え。SBIは開発や実用化を資金面で支えていく。
(両社提供)
SBIグループはこれまでも半導体事業を行うJSMC ホールディングスを設立し、国内半導体産業の再興による地方創生を推進してきた。現在、半導体大手商社のレスターとの業務提携や、宮城県大衡村における事業予定用地の確保など、半導体事業の拡大に注力している。
プリファードとの連携を通じて、次世代AI半導体の国内普及を強力にサポートし、PFNの事業拡大を推進することで、日本における半導体産業の発展に貢献できると想定している。
併せて、SBIグループの製造業における認知度向上や、宮城県における半導体製造に向けた半導体生態系の構築による域内での高い経済効果の創出も見込む。
【出資概要】
目的 | 国内での次世代AI半導体製造に向けた半導体生態系の構築 |
出資スキーム | 第三者割当増資引き受け |
出資実行 | 2024年9月末(予定) |
出資額 | 最大100億円 |
(藤原秀行)