米投資会社のロイズ・キャピタル、千葉・成田空港近接エリアで「日本版フードバレー構想」具現化目指す大規模再開発に参画

米投資会社のロイズ・キャピタル、千葉・成田空港近接エリアで「日本版フードバレー構想」具現化目指す大規模再開発に参画

SPVの全株式取得契約締結、輸出促進へ冷凍貯蔵倉庫など整備

米国の投資会社ロイズ・キャピタルは9月4日、不動産事業などを手掛ける共生バンク(東京都千代田区二番町)グループから、千葉県成田市の成田国際空港に近接したエリアで商業施設や冷凍貯蔵倉庫などをそろえ、食品や農林水産業の成長産業化を促進する拠点を整備する大規模な再開発「ゲートウェイ成田開発プロジェクト」を運営するSPV(特別目的事業体)の全株式を取得する契約を8月30日付で締結したと発表した。

取引は11月末までに完了する予定。具体的な株式取得額は開示していない。

同プロジェクトの目玉となる「デジドーム」は球面全体にLEDを配したスクリーン面積6000㎡、客席数5000席超の近未来型アリーナを計画。世界トップレベルの高解像度と音響設備を備え、カーボンニュートラルに対応したグローバル水準のアリーナとして運営する。

他にも、食品や農林水産業の成長産業化を促進する「⽇本版フードバレー構想」を具現化するため、フードテック企業のイノベーションセンターやテストマーケティングレストラン、情報配信を⽬的としたキッチンスタジアム、国際会議場などから成るR&D複合施設を設置する。⽇本⾷の輸出拡⼤とグローバルコールドチェーンの構築を⽬指す。急速凍結技術を活用した生鮮食料品の海外輸出にも注力する。

ロイズ・キャピタルは2025年の第4四半期(10~12月)末までに建設を開始、27年3月の開業を想定している。

同プロジェクトは2019年、成田市が公表。同市内の小菅地区にある東京ドーム約10個分に相当する約45万6000㎡の土地に空港利用者のための宿泊施設やインバウンド需要を受け止めるための商業・娯楽施設などを建設、地域活性化を図る方針を打ち出した。

その後、今年5月に共生バンクが同プロジェクトのマスタープランを公表。食品産業を集積する「⽇本版フードバレー構想」実現を軸にする方向に軌道修正した。

しかし、同プロジェクトの開発用地の一部を対象としたファンドを組成、資金を募る投資商品「みんなで大家さん」を運営していた共生バンクグループの都市綜研インベストファンド(大阪市)と、投資商品の販売を担当していたみんなで大家さん販売(東京都千代田区二番町)の2社が、事業のマスタープランが当初の訪日外国人向け観光産業拠点から食品産業の集積拠点へ変更になったにもかかわらず、出資者に収益見込みが大きく変わる可能性があることを十分説明していなかったことなどを理由に、大阪府と東京都が6月、2社に対して不動産特定共同事業法に基づき、一部業務を30日間停止するよう命じる行政処分を出していた。都市綜研インベストファンドは処分を不服として提訴した。

【ゲートウェイ成田の基本計画】
・所在地:千葉県成田市小菅地区
・敷地面積:約45.6万㎡
・総延床面積:約38万㎡(予定)
・開業時期:2027年3月予定 (※一部開業)
・主要建物:商業複合施設、ランニングトラック、デジタルドーム、ホテル、冷凍貯蔵倉庫、フードテックR&D開発拠点(国際展示場、国際会議場、キッチンスタジオを含む)バスターミナル、駐車場棟等

(藤原秀行)※いずれもロイズ・キャピタル提供

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