【独自】物流施設関連の政策要望、冷凍・冷蔵倉庫や危険物倉庫の新設・更新支援制度を継続して提唱

【独自】物流施設関連の政策要望、冷凍・冷蔵倉庫や危険物倉庫の新設・更新支援制度を継続して提唱

不動産協会が決定、管理部門の人手不足考慮し規制緩和も訴え

主要な不動産会社などで構成する業界団体の不動産協会は7月29日の理事会で、政府に対する2024年度の不動産分野の政策要望を決定した。物流施設開発を手掛けるデベロッパー20社以上が名を連ねている同協会内の「物流事業委員会」が中心となり取りまとめた。

24年度の政策要望は「街づくりで培ったデベロッパーの強みを活かし、物流不動産の供給を通じて、社会課題の解決に寄与する」ことを基本に据え、「強靭で、安心な物流を支える」「革新的で、効率的な物流に進化させる」「やさしく、持続可能な物流を育む」の3点を重視。

トラックドライバー不足などで物流の持続可能性に懸念が持たれている現状を踏まえ、23年度の要望に続き、「2024年問題」を念頭に置いて中継物流用拠点の開発を後押しする規制緩和や補助の新設を求めている。さらに、トラックドライバーや倉庫従業員の確保につながる支援措置の創設なども要望している。

また、需要の増加や社会的存在意義の高まりを考慮し、冷凍・冷蔵倉庫の新設・更新を支援する制度の創設・拡充もあらためて提唱している。23年度から継続し、2024年問題の解決を物流施設開発の観点から促していくことに重点を置いた内容となっている。

不動産協会は今後、国土交通省など関係機関と調整を進め、盛り込んだ要望の実現を目指していく構え。

冷凍設備点検の頻度や項目緩和を要請

政策要望は毎年7月ごろに公表。経済情勢の変化などを受け、経済成長に資するための不動産開発を推進することを目的に取りまとめており、賃貸物流施設の需要が旺盛なのを考慮し、2020年以降は物流施設についても独立して要望内容を公表している。

今年決定した政策要望は「強靭で、安心な物流を支える」ために、全体に共通する事柄として、物流不動産に対応した規制・制度体系を構築することを提言。冷凍・冷蔵倉庫や東京臨海部での物流施設開発用地がともに不足している最近の傾向を受け、国交省が2013年度にスタートした東京臨海部の「国際競争流通業務拠点整備事業」に関し、より使いやすい制度へ変えていくことなどを求めている。

冷凍・冷蔵倉庫の新設・更新については、環境省の「コールドチェーンを支える冷凍冷凍機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」の要件を緩和し、所有者が変わっても補助対象として容認したり、補助率を拡充したりするこなどを提案。冷凍設備の管理要員も人手不足が響いているのを踏まえ、日常点検の頻度や点検項目の緩和を盛り込んでいる。

「強靭で、安心な物流を支える」については、災害発生時もオペレーションを継続できるよう、緊急輸送道路や重要物流道路に面していたり、医薬品や支援物資を保管していたりする倉庫への支援措置を講じることや、非常用自家発電設備の設置・維持費用への支援措置を確立することなどを列挙している。

EC市場成長などで需要が伸びている危険物倉庫の新設促進に向け、補助金や大規模ひさしの面積参入基準緩和など支援措置を設けたり、大規模倉庫の防火対策の検討・協議を進めたりすることを提示している。


危険物倉庫への配慮も引き続き求めている(イメージ)

DXによる維持管理要員の削減として、遠隔監視カメラなどを使うことで防災センターの要員に関する規制を見直したり、ロボットなどの導入に不可欠な特別高圧受変電設備に対応する電気主任技術者の常駐・専任規制を緩和したりすることなどを訴えている。

「やさしく、持続可能な物流を育む」では、自動運転トラックを受け入れやすいICやSA・PA直結の物流不動産の整備支援、市街化調整区域での開発や農地の転用をより行いやすくするよう配慮も求めている。

倉庫にトラック待機スペースや専用シャワー室、女性専用休憩室などトラックドライバー用施設を導入する際の支援措置創設、ダブル連結トラックなど大型車両の導入促進に向けた車両出入口の幅員制限緩和、倉庫従業員の外国人材受け入れ促進なども記している。

さらに、倉庫でも脱炭素を成長に結び付けるGX(グリーントランスフォーメーション)を実現していくため、太陽光発電設備の設置部分やトラック待機スペース、地域住民が利用できる敷地内公園部分を緑地面積に算入できるようにするなど、支援措置をそろえるよう提言。次世代トラックの普及促進なども図るよう求めている。

(藤原秀行)

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