横浜港で船舶間のメタノール供給シミュレーションを実施

横浜港で船舶間のメタノール供給シミュレーションを実施

マースクや出光など参加

横浜市は9月18日、マースクや三菱ガス化学、国華産業、出光興産、上野トランステック、横浜川崎国際港湾の各社と連携し、横浜港南本牧ふ頭でマースクが運航するメタノール燃料コンテナ船「Alette Maersk(アレット・マースク)」と国華産業の保有するメタノール輸送内航船「英華丸」の間で、メタノールを船舶に直接供給する「メタノールバンカリング」のシミュレーションを実施したと発表した。

市はシミュレーションを通じて得た知見を活かし、船舶燃料としてのメタノールの供給方法を連携して検討し、関係官庁の協力を得ながら、国内でメタノールバンカリングの実装に向け、取り組みを継続していく構え。

メタノールは燃焼時のCO2排出が少なく、NOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)、PM(粒子状物質)の発生が多くないことから、クリーンな燃料として注目度が高まっている。

さらに、バイオマスや、CO2と再生可能エネルギー由来の水素からメタノールを合成する試みが増えており、カーボンニュートラルを指向した燃料としても存在感が大きくなっている。

国際海運市場では脱化石資源を視野に、重油に代わる環境負荷の低い船舶燃料としての使用が既に始まっており、メタノールを主燃料とした船舶の普及も進んでいる。日本国内でもメタノール燃料船の増加が見込まれているため、国内の港湾におけるメタノールの補油体制の構築は、海運における温室効果ガス削減と港湾の国際競争力確保に不可欠とみられている。

メタノールのバンカリングに用いる予定の国華産業保有の英華丸を、メタノールを燃料として運航することのできるマースクが運航するメタノール燃料コンテナ船に接舷しホース接続上の課題を洗い出すなど、参加各社が保有する船舶設備や知見を持ち寄り、実際に燃料メタノールのバンカリングに必要なオペレーションの確認を行った。

メタノールは、化学品の貨物として既にケミカルタンカー同士での「Ship-to-Ship」での移送の実績はあったが、燃料供給を前提とした今回の取り組みは、今後日本国内でメタノールの定常的なバンカリング体制を構築するための大きな一歩とみている。

(藤原秀行)※いずれも横浜市提供

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