大手商社で実証実験経て改善
荷主企業のサプライチェーン運営効率化を支援するknewit(ニューイット)は9月18日、素材を扱う調達物流に特化したAIサービス「契約車両数削減AI」を同日、公開したと発表した。同社は、国内で初の取り組みと説明している。
複数の商社が持つ実際の輸送網効率化の実例をベースに、出力が可能。独自技術を生かし、データの不足や名寄せ問題などの商社事情を細かく考慮した仕様を採用している。大手商社での実証実験を経て改善を進めてきた。
具体的にどのトラック・ルートを、どの別のトラックやルートへマージすることで削減可能かを具体的に突き止めることに絞り込んでいる。
効率が改善されても原価が削減されないような「成果なき改善」を回避することや、商社業務として作業の負担となる「高い関係者への報告」「協力会社への申し入れ」などの業務までを考慮している。
このAIソリューションの開発初期段階ではGPT-4(Open AI)やRAGを用いた実装を予定していた。しかし、実際に企業で実証実験を通じた実用性の追求を重ねた結果、自社の独自技術を用いてソリューションを実装することにした。
ルートや重量などの定量的に扱える要素のみを考慮したトラック台数削減のシミュレーションで「積み合わせや拘束時間」、「納入先単位での時間指定」など、現場レベルの障壁や必須となる制約事項を考慮されたモデルを開発した。
初期段階でのデータセットが少ない状態やデータが名寄せされていない、要素化されていない状態を踏まえた仕様で開発したため、荷主企業の保有する限定的なデータで使えることが大きな特徴。
シミュレーションや分析など出力だけではなく、具体的な輸送計画の変更を踏まえた「協力会社への申し入れ」を支援するAIサポート機能を充実させている。関係者との調整におけるリスクを最小限に抑え、輸送網の改善を迅速にすることや意思決定を進める上での各位への事前対応の可否を確認することまで、包括的にサポートする。
(藤原秀行)※いずれもknewit提供