東京富士青果や大治などと連携、オンライントレードプラットフォームを活用
IT関連の人材派遣などを手掛けるセラクは10月16日、青果卸の東京富士青果、青果仲卸の大治などと立ち上げた協議会による「板橋市場活用型有機農産物物流実証実験プロジェクト」の活動の一環として、物流効率化による配送コスト低減を目指し、オンライントレードプラットフォームと市場便の活用による有機農産物の新たな流通方式の確立に向け実証を始めると発表した。
農林水産省は有機農業に関する「みどりの食料システム戦略」の中で、2050年までに有機農業の取り組み面積の割合を全体の25%の100万haまで拡大することを目標に掲げている。
今後、有機農産物の生産量が増大することが予想される一方、国内の食品市場における有機農産物は、国内農業総生産額の2%に満たない2000億円程度にとどまっている。有機農産物の需要が拡大しない要因の1つに、その多くが小口取引で宅配便などの個別配送による輸送のため、コストがかさんでいることが挙げられる。
同協議会は有機農産物の輸送コストを従来と比べて30%低減することを目的に、オンライントレードプラットフォームを活用した商流の取りまとめによる大ロット化、産地-市場間を結ぶ安価な市場便を活用した物流の効率化を図ることにした。
オンライントレードプラットフォームは、産地が有機農産物の出荷予定、希望価格を登録し、その情報を基に仲卸が実需企業と交渉する。産地で希望価格を決定するために、慣行野菜の市況価格や、セラクがウェザーニューズと共同で開発した産地出荷量予測情報を提供する。
こうした情報を生かし、慣行野菜の市況を踏まえつつも有機農産物特有の相場が形成されていることを見込んでいる。
また、取引が成立した有機農産物の輸送は、産地と市場を結ぶ市場便を活用し、慣行野菜との共同輸送を行うことで輸送コストを抑制。市場では、有機JAS()小分け認証を有する大治が小分けを行われ、実需者に配送する。
今回の実証を通じて、市場を活用した有機農産物の新たな流通方式を確立することで「2024年問題」の緩和や、有機農産物需要の拡大といった効果を期待している。
実証事業は農林水産省「令和5年度 物流生産性向上推進事業」(事業主体:公益財団法人食品等流通合理化促進機構)の支援を得て実施する。
(藤原秀行)※いずれもセラク提供