川崎重工、小型航空機エンジンで水素100%燃料の運転試験に成功

川崎重工、小型航空機エンジンで水素100%燃料の運転試験に成功

脱炭素への貢献目指す

川崎重工業は10月17日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代航空機の開発プロジェクト」として採択された事業「水素航空機向けコア技術開発」で、小型航空エンジンの水素100%燃料による運転試験に成功したと発表した。

同事業は、水素航空エンジンの実現に向け、水素燃焼技術を開発している。従来燃料用の自社製小型航空エンジンに同社が新たに開発した水素用燃焼器などを搭載して水素燃焼運転試験を実施した。

試験は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場(秋田県)で行い、水素のみを燃料とした着火から回転上昇、定常運転、回転降下、停止までの一連の運転動作で、安定したエンジン運転が可能なことを確認した。


水素エンジン試験の状況(プレスリリースより引用)

今回の試験は2021年から実施している3つの開発項目のうち「水素航空機向けエンジン燃焼器・システム技術開発」の一環として行った。

残る2つの開発項目「液化水素燃料貯蔵タンク開発」「水素航空機機体構造検討」も順調に進捗しており、今回の成果と合わせて、水素航空機の機体およびエンジン関連のコア技術開発を推進していく構え。

同事業は2021年から10年間をコア技術の開発期間とし、各技術を統合したシステムとしての成立性と性能を評価するため、2030年に地上で実証試験することを計画している。

航空機と水素関連製品という異なる分野に関する技術や経験を総合することで、航空機のCO2削減に貢献する水素航空機のコア技術開発に加え、「液化水素サプライチェーンの商用化実証」などの水素事業を推進し、2050年までのカーボンニュートラル実現に貢献したい考えだ。

(藤原秀行)

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