埼玉の飲料配送センター、トラックの入場から退場まで1時間短縮

埼玉の飲料配送センター、トラックの入場から退場まで1時間短縮

サントリーHDが24年問題など受けた取り組み状況説明

サントリーホールディングス(HD)は10月18日、「2024年問題」やトラックドライバー不足を踏まえたグループの物流業務効率化の取り組み状況を公表した。

商品を運べなくなる事態を避けるため、輸送距離短縮やトラックの積載効率向上、物流拠点でのトラック待機時間短縮に注力しており、それぞれの項目で成果を挙げていると強調。

その一例として、さいたま市に構えている飲料の物流拠点「浦和美園配送センター」ではトラックの自動受付システムを採用しているほか、物流施設の仕様自体をデベロッパーの大和ハウス工業と連携して飲料の取り扱いに適したものにしていることを明らかにした。

そうした取り組みの蓄積で、同センターは一般的な物流拠点に比べてトラックの入場から退場までの時間を1時間程度短くできているとの見方を示し、同センターのノウハウを他の拠点も横展開していくことに強い意欲を見せた。


浦和美園配送センターが入る大和ハウス工業開発の物流施設(同社提供)

サントリーHDは、トラックドライバー不足に現状のまま手を打たないと、2030年には23年に比べてトラックドライバーが23%減少する可能性があると推計。「今まで通りに(商品を)運べなくなるリスクに直面している」と指摘した。

そのため、輸送距離短縮ではできるだけエリア内で製造から輸配送まで済ませられる体制に移行していると解説。その一環として、グループのサントリープロダクツ高砂工場(兵庫県)で約250億円を投じて製造ラインと自動倉庫を新設しており、26年春の稼働開始以降、関東エリアから西日本エリアへの長距離トラック輸送を5割減らせると見込んでいることを明かした。

また、飲料の容器をトラックの積載効率が高くなる形状に変更。その結果、1パレット当たりの積載ケース数が35ケースから24年は45ケースに増え、今年6~8月に輸配送に投入したトラックはそれまでの4万台から3万6000台へ1割へらせたという。

浦和美園配送センターでは、自動予約システムを取り入れていることで、受付で時間を以前よりも5~10分短縮できているほか、待機時間も大幅に圧縮しているとアピール。拠点の機能面でもトラックバース数を一般的な配送センターの3倍程度に拡充しているという。また、バース周辺の仮置きスペースも通常のセンターの2倍以上広く取り、積み込む商品の荷揃えを事前に済ませて仮置きやすくしているとともに、バースを低床にして、飲料用のトラックとして一般的に使われているウイング式で仮置きスペースから直接積み込めるようにしている点にも言及した。同センターのトラック待機時間は平均で約30分という。

トラックドライバーからは「受付から出発までスムーズで良い」「待ちがないので次工程の着時間が読める」「他倉庫に比べて格段に待ち時間が少ないのでノンストレス」といった声が寄せられていると紹介した。

(藤原秀行)

物流施設/不動産カテゴリの最新記事